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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2018年01月11日(木)更新

初コースで更なる進化を遂げそうなコズミックフォース

芝2000の京成杯は、GⅠ・ホープフルSから間がないこともあって手薄なメンバー構成。完成度の高さがポイントになる今の時期の3歳戦ではあるが、将来性に重きを置くという尺度であれば、デルタバローズの右に出る馬はなかろう。素質馬揃いの堀厩舎にあっても群を抜いていたスケール。現に、若駒にとっては辛い筈の馬場だったデビュー戦でも全く動じることがなかった。

一旦リセットしてからここに至る過程の質も高い。そして、木曜の10時半過ぎに登場しての最終追いがまた圧巻。しまい重点ではあるが、5Fから既に16秒を切るラップ、鞍上とのコンタクトを緊密に取って直線へ。何と、先に追い出したのが1000万下の古馬で、それに持ったままで並びかけてその手応えのままフィニッシュ。ラストは12秒4の速さであった。しかし、少々前が勝ったバランスで重心が低い点で2000はどうか?恵まれた身体能力があれば克服可能としても良いのだが…。

水曜に最終調整を済ました組ではますジェネラーレウーノ。矢野英厩舎の定番であるハロー明け、しまい重点の併せ馬。馬場コンディションが良好な時間帯だったとはいえ、最近の重いウッドで4F52秒7。1秒以上追走しての併入だった上に、馬場の外目だったから価値は高い。大きなストライドで首を上手に使ったフォームは実に洗練されている。

11月の府中以来となるコズミックフォース。その迫力にはどうしても惹きつけられてしまう。確かに、鞍上がアクションを起こしてからの加速までタイムラグが。それでも勝ち切った前走は着差以上の強さ。胸前が発達して実にパワフルなかき込みで、それが推進力の源。追い切りは6Fの行き出しで前との差は4馬身。それをキープしたまま迎えた直線では重戦車のような迫力で最後にきて目一杯追えたのだから、むしろ休む前以上。冬場のタフな芝、初コースになる中山で他との違いを際立たせそうなタイプで、スターダムに名乗りを上げるには格好の舞台

中山の他では今週2鞍組まれているOP特別をピックUP。まずは日曜10R。ここでの主役がダノンプラチナということには異論を挟めないだろう。9月・京成杯AHでの取り消しが躓きの元。従って、前走は脚元と相談しながらの仕上げで基礎体力といった点で大きなハンデを背負わされた。対して、今回は久々にウッド中心。先週までに既に併せ4本消化した上に、最終調整にもウッドを選んでの追走併入で1Fは12秒4。勿論、以前の柔らか味は望むべくもないが、底力を発揮するには十分な筋肉量。これだけの実績馬が57キロで出走できるのであれば取りこぼしは許されぬ

土曜メインのジャニュアリーS。Dコース朝一番に追われたドラゴンゲートの売りはスピード。ハナを切れたGⅢの前走、4着に残れているのならフラットなコースオンリーというのは過去の姿ということに。年明けからの単走2本ではずれもシャープな身のこなしで好調キープは間違いないところ。展開次第といった面を打ち消すまでに至らぬが、上位を賑わす存在

同じくDコースでの単走だったアールプロセスも同じように勝ち切るには注文がつく。唯、間隔が開いたといえ、はち切れんばかりのハリを誇っている上に、今週のラストは11秒7の鋭さ。迫力が増した上でのコース替りとなれば俎上に載せなければならないだろう。

ウッドでの併せ馬を消化したベストマッチョにとって今回が復活の場となりそう。相手は日経新春杯にエントリーがあるモンドインテロ。道中で先行した利はあったが、内の追い出しを待つ余裕があっての併入で軽やかでいながらメリハリのあるフォーム。去勢明けのマイナス体重でも重かった復帰戦を叩いての上積みは相当だということ。その後は賞金で弾かれること三度だったが、その分乗り込めたし、乗り手が容易く操つれるようになったことを大きな変り身と捉えて良い。2度目の6Fでより順応できそうなのも心強い。

今週からスタートする3場開催、土曜は中京の愛知杯。牡馬相手の中日新聞杯でも‘あわや’のレース振りだったマキシマムドパリをベースに考えるべき。常識的にはこれを◎とするか、中京巧者のキンショーユキヒメ辺り。美浦組ではクインズミラーグロ。去年は伸び足りなかったが、マーメイドSから着用したチークP効果ということで当時からの上積みは確かだし、無謀な逃げと言わざるを得なかったエ女王杯でも結果的に1秒1差に過ぎぬ。実質の追い切りが月曜(ポリ5F67秒1)ということだったが、感触を確かめる程度で終えると予想された最終追いでも4Fを過ぎて加速して上がりは38秒8の速さ。オーバーワーク、或いは絞る為の追試といったことではなく、自然体でマークした時計だからデキの良さには太鼓判を捺せる。それが頷ける馬体のハリ。

51キロで格上挑戦となるリカビトスは坂路オンリーで最終追いは53秒0。ポテンシャルは認めるが馬と相談しながらのローテーションで今回の本格始動は年明け、経験値で劣る馬の初コースとなると食指は動かない。同じ明け4歳ならブラックオニキス。2000での良績がない分、どうにか印を回す程度になるが、前走後は一杯追い2本と攻め強化。華奢で強く追えない時期が長く続いたことを思えば、一本芯が通ったと実感させる造り。上昇気流に乗ったと見做せる

京都は日経新春杯。先に触れたベストマッチョのパートナーだったモンドインテロがエントリー。トモが薄かった以前の姿とは異なっている分、前肢の伸びに後ろがついてきたのだ。昨夏・札幌での格段の切れがその表れで、脚色で劣った追い切りは相手のレベルが高かったこと、元々が稽古駆けしないタイプだから。昨年を見る限り、ミッキーロケットとの差は歴然といった感じだが、ハンデがその溝を埋めてくれるだろう。少なくとも相手本線といったポジションにはある

中山に話しを戻す。そこで取り上げたいのは平場の1000万下で日曜12Rから。ここはチャロネグロで仕方ない。暮れの2500戦は超スローで進む中、理解に苦しむ消極策。結果、4角からは包まれ通しでほぼ馬なりでのゴール。その時点でも秋とはひと味違った調教を積んでいた。今回は併せ馬での5F71秒超えだったが、バターのように滑らかな身のこなしが大きなストライドを生んで1000万下にとどまっている馬とは思えぬ。有馬当日に溶かされた分を回収させて貰う。

最後が日曜8Rで今週一番太く買いたい馬、フォーハンドレット。秋の府中マイルでも目を剥くような強さ。唯、パワフルな反面、ユッタリと体を運ぶ故それでも忙しかった。従って、関西での躍進(惜しい3着)には納得に行くし、それに輪をかけた追い切りが木曜。1馬身遅れだったが先行する2騎から4秒以上後ろでの5Fスタート。単走でアッサリ終えそうな気配から一変したのは3F過ぎで、グングンと差を詰めてのフィニッシュ。今のウッドで5F65秒6、目一杯でなくても叩き出せたのだから並大抵でない。今回どころか、1600万下に上がっても足りる資質 。

プロフィール
柴田卓哉

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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