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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2018年04月12日(木)更新

関東の1番手はジェネラーレウーノ

三冠の第一関門では週明けの時点で波乱が。弥生賞にも完勝して無傷、本番と同じ条件をあっさりクリアーしたダノンプレミアムの回避で一強体制が覆ったからだ。となると、繰り上がりで弥生賞2着のワグネリアンが支持を集めようが、自らレースを造るタイプでない点が不安と言えば不安。まあ、縦長まであり得るほど先行馬が揃っていれば福永でも無難に捌けそうだが…。

一応、叩いた効果と暮れのGⅠを尊重してタイムフライヤー、底知れぬキタノコマンド―ルと関西勢に重きを置くのが無難かもしれぬが、好調教だった美浦組が首位争いに絡んで不思議ない。その中からまず触れなければいけないのが、スプリングS勝ち馬・ステルヴィオ。この馬にとってもダノンPが目の上のタンコブであった。

確かに、質の落ちるTRであった前走だが、前残り必至の展開でも差し切れたのだから並大抵ではない。加えて、あくまでも試走といった面があったから、反動も抑えられた筈。2週にわたってモヤだった為に、ジックリと見られたのは最終追いだけで、木村厩舎の直前であればしまい重点にも納得。とはいえ、鞍上が促すと一気に回転数が増してのラストは12秒2。非凡さをアピールするには十分で1F延長にも不安を感じぬ

メンバー的に低評価に甘んじても仕方ないのが京成杯制覇のジェネラーレウーノ。唯、間隔を開けたことが功を奏したと見做せる快調教を連発。これまでは木曜追いだったからモヤの影響を受けずに目の当たりにできたという贔屓目だけではない。幅が出て黒光りのする馬体と冬場に比べると格段にUP。特に、3頭縦列の2番手から真ん中に突っ込んだ直前は、実にダイナミックなアクションで、紫の調教ゼッケンを着用するに相応しい風格さえ。前目に位置できる器用さと容易にはバテぬしぶとさ、関東の一番手に抜擢したくなった

2月以来となるオウケンムーンは、そこで賞金加算を遂げた為、ここ1本に絞っての調整。1週前には余力十分での6F81秒7と非凡さを訴えるのは十分な内容をこなしている。従って、セーブ気味だった最終追いを気にする必要はないし、やはり密度の高い3頭併せだったからパーフェクトな仕上げと捉えて良い。問題は、年明けの中山2000が物足りないこと。共同通信杯、遡れば衝撃的な初勝利だった新潟に比べると2分3秒4に?当時からの成長が実感できても本質は上がりの速い競馬が恰好となる分、連下の域を出ない

他の特別戦ではまず土曜・利根川特別。ここは、昇級戦になるエンパイアステートで仕方ない。前開催の3週目以来となるが、最終追いを含め併せ2本と順調そのもの。何せ、先週の福島にも登録があったほどで、そこをスキップしての臨戦。まだゲートに不安の残る段階だし、急がせると持ち味を殺してしまうから、この選択は理に適っている。2番手から真ん中に入った直線は終始余裕の手応えで格上の最外に3馬身先着と文句なし。

順調ということならパイロキネシストも同様で、こちらはDコースでのラストが気合いをつけた程度でも12秒2。けれども、マイルがベストだけに最後に甘くなる可能性も。それならば条件替りが狙い目になるビービーガウディ。芝もこなせるオールマイティーだが、近走は狡さを覚えて能力を出し切れていない。とはいえ、前回時より確実に時計を詰めてのウッド5F68秒3は強調材料になるし、3歳春までは当条件が主戦場。砂を被らぬ形なら

同じダート1800でも土曜・下総Sは1600万下。定量戦ながら紙一重の混戦で取り上げるのがスウィフトレイド。10月の京都以来となるが、堀厩舎らしく目標を定めての乗り込みで1週前の時点でも体を造っていたほど。従って、直前の水曜は4Fスタートのしまい重点で55秒5と目立たぬ時計。が、リズミカルで全身から発するパワーが伝わってくる走りに終始した。当日はまだ天気が保ちそうなだけに、速い時計の決着に泣いた前走の二の舞にはならぬ

ここでつけ加えたいのが、このパートナーだったグラッツェミーレ。古馬を追走して互角の脚色だった上に、力の籠ったフォームで気性も素直そう。また、先週の5F追いで3歳OPをアオっている点からも性能は極めて高い。良化が遅々として進まなかった冬場があって当初は感心できなかったが、スケールを感じさせる馬体に様変わり。

土曜10Rに戻ってここでの穴馬を。牝馬限定の1000万下が前走だったことから軽く見られがちなパレスハングリー、以前は揉まれると二束三文。が、Dコースでの攻め馬でシャープな捌きを安定して繰り出せるようになったのは精神面の充実ゆえ。相手に恵まれたとはいえ、タイトな流れの中、集中力をキープしての正攻法で後続に7馬身差というのは伊達でない。昇級初戦、定量の混合戦とハードルは高くても狙う価値あり

3歳戦では土曜9Rのフィエールマンが注目の的。デビュー戦、道中は少々乱暴な運びだったが、前を射程に入れると周りを窺いつつの仕掛けで奥深さを感じさせるには十分。クビ差と際どかったこと、1分51秒3の平凡な時計より、相手の抵抗があれば再び伸びる勝負強さは素質のなせる業。加えて、一層レベルUPした過程もある。特に、追い切りは皐月賞ゼッケンを含む3頭併せの最後尾から。にも関わらず、少しでも追えばどこまで弾けるが分からぬような動きでの‘おいでおいで’勿論、体の線がまだ朧気で成長途上だが、その段階でも格上を圧倒する内容なのだから器の違いは歴然

土曜6Rの芝1200戦はラストプリマドンナ。最終追いは坂路での1馬身遅れ。が、4F52秒9でビッシリできた点で大幅な良化。2着続きの時期は如何にも華奢で思い通りの調教が積めなかったからだ。対して、今回の短期放牧明けはアクセントの利いた体つき、柔軟性が増した1週前のウッドがある。一瞬、別馬かと思わせるほど芯が通っていたのだ。確勝を期しての平場戦

2週目を迎える福島からは土曜・雪うさぎ賞を。3歳の芝1200が3場で3鞍と分散している上に、ここに登録のあった関西の有力処が阪神に回った故、手薄に。それならばミラビリアで間に合う。詰めが甘かったデビュー戦以来の芝で当時は稽古が軽かったことに加え、1F長かった。対して、この距離であれば2走前が示す通り、乱ペースになってもリズムを崩さずに追走できる。手先の軽い馬だからダートでの勝ち上がりはポテンシャルの表れで、初になる今回の舞台がベストと思える。ウッドでの3頭併せで最後までタイトな態勢を強いられながらも鋭い伸び、体がデキてきたことで辛抱強さも加わった。この変り身を狙わぬ手はない。 。

プロフィール
柴田卓哉

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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