2開催というロングランの府中に突入する週末はオークスTR、勢いのある関西勢が支持を集めそう。唯、サトノワルキューレは長く脚を使う反面、開幕週が合うかと言えば?だし、サラキアの本質はマイラー。ならばレッドベルローズで十分に間に合う筈。
テンションを抑えながらの調整が不可欠ながら、一旦は美浦から出すことによってリフレッシュされたし、実際にドッシリと構えている。微調整程度のメニューで十分なだけに、追い切りは先行態勢の5F追い。それでも、ラストでは古馬準OPに優るとも劣らないピッチで駆け抜けてのラスト12秒9。積極策で危なげなく押し切った中山で格段の進歩を遂げたとともに、当距離に対する適性が如何なく発揮。軌道に載った今なら樫への切符を難なく手に入れよう。
ライバルはオハナでこちらは天気が回復した木曜に最終調整。厩舎の朝一番の組でその中から未勝利馬をパートナーに選んでの併せ馬。ここ目標に負荷をかけてきたから、しまい重点の4F54秒1には納得できる。また、今回の休養でひ弱さが解消。胸前が格段に厚くなったのだ。間隔が詰まってセーブ気味だったクイーンC時よりはバリエーション豊富と言えるメニューをこなせたからこそ。勿論、距離延長での新味にも期待できる。
逆に、一定以上の評価を与えるべきノームコアには気がない。3戦2勝、GⅢでの3着に非凡さが表れているが、流れを掴んだ筈の前走でひと押しが利かなかったのは期待ほどの成長ではなかったから。長い直線を乗り切るほどの体力がそなわっていないということに加え、華奢に映る体が益々薄くなってこの中間はオール単走。少なくとも、古馬相手にビシビシ追われていた前回時よりは劣る。
他の重賞で注目すべきは福島牝馬S。同じ芝1800ということで、中山牝馬Sがベースになるのは間違いない。そこでまんまと逃げ切ったように見えるのがカワキタエンカだが、3歳時の活躍を振り返れば意外とは言えない。唯、1000m通過61秒を超えるペースを味方につけたのは確か。その中で力を出し切れなかった馬の巻返しに狙いを定めてはどうか?ワンブレスアウェイを◎に。
出遅れた上に、折り合いに気を使い過ぎて仕掛ける素振りさえなくゴール板を迎えた。戸崎に戦闘意欲が問われるべきレース。しかも、間隔を詰めても馬を追い込む調整といった点で覚醒を促したのがこの中間。特に、前3頭と離れた向正のポジションから単走に思えたのが最終追い。にも関わらず、外ラチ沿いに進路を取って4頭同時入線という結果で密度の高さは折り紙つき。ダイナミックなフォームに終始していることでもピークに達したと見做せるのだ。前目で機動力を生かせる小回りに加え、極端な高速決着にならぬ良馬場というのがピンポイント。恰好の舞台になる。
この馬同様、ハンデ→別定という斤量面でのアドバンテージがあるとは言えないブラックオニキスの状態面も強調しておきたい。加藤和厩舎だけに、パートナーのレベルに問題はあるが、前回同様の意欲的の稽古で2馬身先着。前半に掛かって終わるような時期には消化できぬ6F追い敢行といったプラス材料があるし、2歳時に結果を出したのが札幌2歳Sとローカルの1800は願ってもない条件。
以上の2騎、GⅠでも上位に絡めるトーセンビクトリー、デンコウアンジュにひと泡吹かせるシーンがあって不思議ない。
府中に戻ってまずは土曜メインのOP。年明けからの2戦で一線級相手に2、4着のサンライズノヴァに敬意を表すのが常識的ではある。しかし、3歳春のイメージとは異なり、持続性より切れといった感じにシフトチェンジ。別定58キロがネックになっても意外ではない。遡れば、これと並ぶ実績を持ち合わせているゴールデンバローズを主力に取り上げるべきか。けれども、マーチSで弾かれてから一旦は外厩に預けることになった。見た目は悪くない4F52秒5で間に合ったとしても、少々場当たり的なローテが気になる。
ならば、勢いを買ってブライトンロック。こちらは在厩での入念な調整で、ここ2週はDコース。以前通りのパワフルな捌きは当然にしても、全身を大きく使ったアクションに強烈なインパクトを感じるのだ。決して有利に働く筈のないコーナー4回での安定ぶりがひと皮むけた証しで、同世代の1本人気に対して2キロ貰った勘定なら逆転も視野に。少なくとも、昨10月に1000万下で取りこぼした一件は忘れるべき。
同じダートで準OPの日曜・鎌倉Sからはアフターバーナー。冬の開催以来となるが、そこでは能力の違いを見せつける抜け出し。今回、昇級戦に加え、久々と一見すると条件が厳しいように映る。が、この休養で一段とパワーUP。帰厩直後の馬体からして以前とは違うのだ。推進力を生むトモに良質の筋肉がついて前後のバランスが良くなったからこその洗練されたフォーム。更に、道中でコントロールが容易くなったことで、スムーズに追走した上でのラストが殊のほかシャープで、最終追いの2馬身先着はその最たるもの。
最後に3歳未勝利戦の注目馬を列記。まずは土曜5Rのサクラレイメイ。初戦の追い切りが単走扱いだったのは、先行する馬に対して追いつける余裕がありながら敢えてセーブした為。それは、実戦にも反映されて、あくまでもレースを覚えさせることをテーマにしての4着。対して、今回は2週連続の併せ馬消化と確実に質をUPさせて、それに応える動き。意欲が違う。
横山典でダブってしまうのだが日曜3Rも彼が手綱を取るブラックキングダム。2戦目の年明けが案外だったのは、デビュー戦の反動。リフレッシュされたことで休養前より柔軟性が増した。更に、感触を確かめる程度で十分だったポリでの最終追いがある。これは、1週前のウッドで9分通り仕上げた故で、そこでのラスト12秒1は迫力満点。このクラスに長らくとどまってはいけない動き。
最後が日曜・福島5Rのヒメベニサクラ。昨秋のデビューで2戦消化したが、いずれも素質馬揃いの中、大崩れがなく追ってシッカリした面を見せたのが収穫。その能力のほどは1週前に古馬1000万下と6Fからビッシリ併せての脚色優勢、直前の先着が示す通りで、ローカルの限定戦ということなら抜けた存在。確かに、幾分余裕がある体つきで、芝・中距離がベスト。しかし、手許に置いてジックリと仕上げる厩舎らしく、実戦に向けてひと追いごとにレベルUP。ダートでも元値の違いがモノを言う。
柴田卓哉
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。
柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。