今週のメイン・東京新聞杯は、関西勢VS藤沢3騎というのが大まかな構図。うち、坂路専用のレッドスパーダは割愛させてもらうとしてもマイル路線を模索するコディーノが木曜追いだけに、1日遅れの更新となった。
僚馬ポールアックスとともに馬場入りしたのは9時を回って。ウッド2度目のハロー明けにピタリと合わせた。向正から入る5Fスタートで先行する馬とは1馬身。それが半マイルでは1秒3と開いて3Fで2馬身差。鞍上の思いのままにセーブできる点には好感が持てる。が、内にもぐり込んだ直線では期待ほど弾けずに1F13秒3。仮に追ったとしても突き放せたかは疑問という印象の5F68秒5~3F38秒9。
テンションが上がらないのは良いものの、もう少しキビキビしたところを見せてもらいたかったし、純粋なマイラーと見做すには重厚感が足りない気もする。半信半疑か。
水曜に追ったサトノギャラントも馬場が整備された時間帯での併せ馬。スパートが半マイル過ぎてからのしまい重点だったが、洗練されたシルエットで加速すると四肢が伸びやかになってのフィニッシュ。稽古ということならこちらが上。前回、器用に馬混みを捌いたように進境著しいのは確か。反面、OP相手となると豪快な大外一気では間に合わないという側面をさらけ出したのも事実。展開面のアシストが不可欠。
調教内容で注目すべきはサクラゴスペル。確かに、最終追いでは2馬身遅れ。一見すると物足りないように映るが、3頭縦列での最後尾から厳しいラップを刻んでの6F83秒0。昨秋のスプリンターズSでは追い切りが強すぎてリズムを崩したというデリケートさを持ち合わせる。つまり、直前でも一杯に追えたのは、精神面での確かな裏付け故だし、馬体の造りやハリは申し分ない。安田記念5着を忘れてならぬ。
府中の特別戦でピックUPしたいのは3歳。まずは、日曜9Rから。牝馬限定ながらメンバーの揃った鞍。特に、2戦目の京都では絶望的な位置から0秒1差まで詰めた関西馬ダンスアミーガ。これを始めとして当コースに実績のあるタイプを重視すべき。美浦組ではイントロダクションにも魅力を感じるが残念ながら坂路専用馬。となれば、コース追いのイマスグキスミーを取り上げる。
矢野英厩舎独特の半マイル調整。入りが16秒5と緩かったが、直線に入ってリズミカルな捌きで末脚を伸ばすと、ラストは痺れるような手応えのまま12秒0。切れがアピールポイントだから、中山の馬場コンディションが足枷となったのは想像に難くない。1400で軽い芝という条件限定ながら、その状況でのハイポテンシャルぶりに賭けてみたくなる。
土曜9Rは想像の部分に多くを頼らなければならぬ2400戦。しかも、好調馬が多くて目移りする。転厩初戦になるジョウノムサシは4F51秒6で古馬を軽くあしらった。並々ならぬセンスを感じさせるものの、まだ全体的に力をつき切っていない様子。先々はともかく、現時点では持久力で他に譲る。
2週連続の併せ馬で古馬を圧倒しているのがマドリードカフェ。殊に、1週前にはウッドで3F37秒1と目を惹く快調教。問題は身体能力に頼りがちで純然たるステイヤーとは思えぬ点。動き絶好を加味しても単穴まで。
ここはタルトオポム。バランスの取れた好馬体を誇る反面、ワンペースの走りだから、前走のようにスパートが遅れるとシーンのなくなる馬。従って、長く脚を使える府中替りは大きなプラスだし、同じ左回りのデビュー戦では、キングズオブザサンとほぼ互角。
稽古も目立った。Dコースで相手は砂巧者のサノチチだから、追走する態勢ではとても敵わないと思えた。が、直線で内にもぐり込むと伸びやかなストライドで一気に追いついてのフィニッシュ。ダート調教に切り替えてのパワーUPぶりに着目。
唯、週末の勝負レースは最終に集まっている。土曜・京都12Rの1000万下からはトリニティチャーチ。ベストはマイルまでという点と、層の厚い関西へ敢えて遠征?と普通は思うが、先週からのメンバー弱化が見受けられる京都のこの条件。それならば上昇度を考慮して狙えるのだ。砂の深いDコースの外ラチ沿いを豪快に伸びて1F12秒3。5Fの時計だけでも前回時から大幅に短縮。太目を脱した故の鋭さで今回が本物。
府中・土曜12Rは牝馬限定戦。中1週でも併せ馬を消化できたサクラディソールで断然。先行する態勢から半マイル過ぎての加速ということで軽い印象を受ける。唯、3歳時は体質の弱さを抱えていて思うようなメニューをこなせなかった。だから、4F54秒1とはいえ、間隔を詰めてもしっかりと追えたこと自体に進歩を感じなければ。動き自体も軽快で体のハリも文句なし。このクラスに長らくとどまってはいけない器。

柴田卓哉
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。