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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2019年02月07日(木)更新

共同通信杯は大物感漂うフォッサマグナを主役に

2歳チャンピオン・アドマイヤマーズを避けるかのように、登録段階からして8頭のみ。馬券的な妙味を感じない共同通信杯だが、今後の指針となるのは間違いない。そのアドマイヤマーズ、朝日杯は完勝だったし、少々掛かり気味だったデイリー杯でも競り勝ったように、派手さとは無縁でも底力には疑いを挟む余地なし。従って、初距離でのパフォーマンス低下などあり得ぬ。

唯、1戦1勝のフォッサマグナには大物感が漂う。現に、暮れの中京ではスケールの違いを見せつけた。そこでの2着が、先週のきさらぎ賞で上位に絡んだのだから価値は更にUP。確かに、1F過ぎまでは抵抗に遭った。が、外枠で距離ロスがありながら4角で前を射程に入れるレース運びに非凡さが表れていたし、抜け出してからは楽。手前換えがスムーズでなかった点、スイッチが入るまでは上手く首を使えないフォームだった反面、仮に最後まで競り合っていればもっと時計は速かった筈。2F延長によって更なる進化を遂げそう。

追い切りは3度目のハロー明けに向正からウッド入り。先頭との差が1秒6もある5Fスタートながら直線で内を突くとシャープな身のこなしでの同時入線。当然ながら少しでも追えば他2頭を一気に突き放しそうな上に、自らハミを取ってピッチを上げたように、実戦を一度経験しての学習効果は計り知れない。前回時、最後の2週がセーブ気味だったのに対して、雨に祟られた重い馬場でも5F68秒9。体も引き締まった。

前走の1分33秒7が衝撃的だったダノンキングリーも俎上に載せるべき馬。抜群の瞬発力だったし、コントロールが容易いだけに、距離に対する融通性もあるからだ。唯、反動なきにしも非ず。本格的な始動が1週前に過ぎなかったことに加え、最終追いに選んだコースはポリ。元値の違いで楽な手応えに終始したのはさすがでも、5Fの入り15秒7というしまい重点ではトーンダウン。今回に限り、押さえ程度で十分ではないか。

土曜は3歳牝馬によるクイーンCがメイン。常識的には阪神JFの2、3着馬の争い。一応、下馬評ではクロノジェネシスということに。何せ、初東上では上がり32秒5の切れを披露したのだ。コース実績といった点で一日の長がありそう。けれども、他より1キロ重い別定重量がネック。ということならビーチサンバ。キャリア2戦目にしてGⅢ2着。当時でマイルの持ち時計を一気に3秒詰めたほど。更に、GⅠでは一旦抜き去られながらも再び盛り返しての0秒2差。謂わば、虚を突かれた形でレースの綾とも言える際どさ。脚を使い切るパターンに持ち込めば逆転濃厚だし、鞍上も2度目となれば同じ轍を踏むまい。

美浦勢ではジョディーが面白い。暮れのGⅠでは見せ場のない16着だったが、それを限界とする意見には賛成できぬ。何故なら、伸びあがるような態勢でスタートを切ってバランスを崩したからだ。密集で進みながら淀まないペース、その中でハナを切れなかったのが如何にも痛い。逆に、消耗がなかった分、立ち直りは早くでここに至る過程では併せ3本と鍛錬に余念がないのだ。体の線が実にシャープで寒い時期とは思えぬ皮膚の薄さに気品と充実ぶりが表れている。直前のポリにしても相手を窺う余裕のラストで1馬身先着と、追いかけられる形なら容易には抜かせぬ気性を裏づけていた。2度跨っていずれも逃げ切った武藤が三度手綱を取る点でも巻き返しを見込んで良い。

勢いを実感させるのがカレンブーケドール。先行態勢だったが行き出し6Fの長目追い敢行が叶ったのは体質強化ゆえ。つまり、取りこぼしのあった2歳時と異なり、捌きに力強さが加わって全身を余すことなく駆使できるようになったわけ。クビ差での初勝利でもスムーズにポジション確保、追うごとに脚を伸ばして測ったように前を捕らえた。コントロールが利いて相手なりに走れる分、周りのレベルUPにも難なく対応できるのでは。

同じ牝馬限定が土曜・テレビ山梨杯でここはゴージャスランチ。開幕週はスローの2番手から定石通りの抜け出しを図ったが、勝ち馬に上手くマークされて内を掬われた。唯、今回は叩き2走目になる。初勝利が4戦目だったように段階を追って良化を辿るといったタイプなのだ。実際、他4頭とともにウッド入りしての最終追いは大きく離れた最後尾からで結局は単走。しかし、適度な落ち着きを保って進む道中から直線に向くと大きく体を使っての加速で5F67秒8。4F追いだった復帰戦より負荷をかけられた上に、ゴールに近づくにつれ、回転数が大きく上がった点で見た目にも鋭さがUP。ここはおろか、ノンストップでOPまで進みそうな雰囲気を醸し出してきた。

直後の雲雀Sは準OP。トップハンデの明け4歳2頭の態勢が整っている。まずはアンブロジオ。ハロー明けに同厩のOP・ハットラブとともにウッド入りしたが、それを前に行かせて単走の形に。とはいえ、帰厩後1本目のポリに6F追いが叶ったほど放牧先での調整が進んでいたから感触を確かめる程度のしまい重点で十分だということ。また、綺麗なラインを保っていながらトモが深く入るフォームで推進力は抜群。

3頭併せの最内でビッシリ追っての1F12秒2、パワフルでシャープなフレッチアも。休養前には昇級初戦で2着と結果を得ている上に、当時は外を回るロスや仕掛け処が曖昧になりがちなペースを克服したのだ。充電によってひと回り大きく映っている馬体に目を惹かれる。

以上に絡んで不思議ないのがトーセンブレス。というか、◎まであって良い。期待外れだった昨秋は挫石による休養から立ち直れなかった。秋華賞に至ってはGⅠに臨むとは思えぬほど加減した調整ぶり。対して、前週までにウッドでシッカリと追えたことに加え、4Fスタートの直前でも手を緩めぬラスト。重い馬場でもバランスを崩す素振り皆無といった点で好調時の走りを取り戻せた。GⅠでの4着が2度。持ち前の決め手を生かせる長い直線で台頭する下地はあるのだ。

同じ1600万下の日曜・初音Sはオハナ。常識的には届かないペース、位置取りだった前走で鬼脚を披露とひと皮剥けた。華奢な面は消えて研ぎ澄まされた馬体に様変わりした故。前週までに5Fからの併せ馬2本と質、量をUPさせての直前は4F追い。上がり手前でスムーズな加速を見せると迎えた直線で一段とギアUP。軟弱な馬場を全く感じさせないシャープな捌きでラスト12秒9と弾けた。3歳の早い段階で1分33秒台をマークできた舞台で当時とは桁違いのデキを誇っている。昇級程度ではその勢いにストップをかけることなどできぬ。

平場戦では日曜8R。叩き2走目になるプレシャスリーフが勝機を迎えた。確かに、復帰戦の2着は遅い時計の決着。逆に、スタミナ勝負に秀でる面を再認識させたということで恰好の条件を迎えるわけだ。加えて、木曜は正面から入っての6F追い。高柳厩舎としては異例のパターンが並々ならぬ意欲の表れ。鎧を纏ったような体を存分に伸ばし切ってのラストに大きな成長を感じ取った。中京で本格化した関西馬・クイックファイアに支持が集まる分、配当的な旨味もある。




柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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