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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2019年05月09日(木)更新

主力は4歳 ラッキーライラックを追撃する馬は?

GⅠシリーズの3週目はヴィクトリアマイル。デリケートな牝馬同士だけにひと筋縄で収まらぬのは、これまでが語る通り。従って、GⅠ馬のアエロリットに飛びついて良いものか?

米国遠征でこそ躓いたが、検疫→放牧を経ての美浦入りは想定通りだし、アクセントの利いた体を駆使しての動きは実にパワフル。確かに、1週前のウッドでは脚色劣勢だったが、追走して外に進路を取るメニューを消化できたこと自体に具合の良さを感じるべきで、直前には坂路51秒2。それを馬なりでマークしたのなら、帰国後初戦といった要素だけで割り引くのは無謀。問題は、定石通りのステップだった昨年に取りこぼしている点。どうもこの馬、強力な牡馬に混じったシーンでこそ潜在部分が引き出されるような…。後続の目標になりがちなレース運びといった分、○が妥当か。

やはり、中心はアーモンドアイ世代。特に、前哨戦で前後半差2秒超えるスローに翻弄されたラッキーライラックの巻返しを考えるべき。栗東入りが遅れる誤算がモロに響いた秋華賞に目を瞑れば安定味は抜群だし、デビューからの連勝が新潟→府中と紛れのないコースでマックスに。石橋も同じ轍は踏むまい。

4歳世代ということならプリモシーンの充実ぶりには目を惹かれる。迫力満点の末脚に磨きがかかったと実感できたのがダービー卿CTだし、切れのみに頼った関屋記念当時より四肢の運びに力を籠っている。福永がわざわざ駆けつけた追い切りは、木村厩舎らしくしまい重点の4F52秒3。鞍上とのコンタクトを取りつつの道中でラスト1Fを切っても持ったままながら、馬がゴールを承知しているかのような弾け方で測ったような1馬身先着。当然ながら首位争いに。

中山牝馬Sは包まれ通しで参考外と言えるのがノームコア。こちらも4F追いで55秒6と感触を確かめる程度だったが、シャープなラインを誇って小気味良い捌き。在厩での本数が少ないのはいつも通りで1週前にビッシリ追えていれば十分だということ。唯、マイルの持ち時計不足がネックか。それならば、この距離が2度目となるサトノワルキューレ。前走、最内でロスを抑えた反面、ラストで伸び伸びと走れなかった。にも関わらず、上がり最速の32秒8。元より、昨春の府中で頭角を現した馬でコース替りを追い風にできる上に、体質強化も伝わってくるレース振り。展望は大きく開けた

土曜は安田記念を見据える面々が集う京王杯SC。藤沢厩舎の3頭出しがポイントのひとつになって、そこからはタワーオブロンドンを主役に。

暮れからの始動で満を持した筈だった2月によもやの5着。けれども、息を入れにくい流れの中、余りにも真っ正直なレース運びでラストが甘くなった。更に、+10キロと少々立派な体つきだったのが冬場特有の仕上げづらさ。逆に、今回のラスト2週はウッド追いで鍛錬をいった面で遥か上を行っているのだ。特に、シッカリと時計を詰めての直前が8分処、持ったままでの5F67秒3。はち切れんばかりのハリを誇りながらも皮膚が透けて見えるようで新陳代謝といった面でも雲泥の差。1F短縮によって小細工無用でも揺るぎそうにない点も心強い。

ここからは3歳の特別戦を。先週の土曜、急激な天候悪化による延期となったプリンシパルS。ただでさえ、ダービーTRとは裏腹に大一番には縁のない鞍であるのに、権利を得てもローテーションがきつくなる始末。不運と言いようがない。唯、様相として青葉賞の結果を尊重するならルヴォルグ。キャリア不足を露呈した東スポ杯を消せばポテンシャルを疑う余地なし。大寒桜賞での対リオンリオンにしても展開の綾と決めつけても牽強付会ではなかろう。2週前、ウッドでの実が入ったと思わせる動きや水曜に追い切りを消化できて坂路54秒4。中止の影響は感じさせぬ。

それは、迫力満点の併せ馬を消化できたマイネルサーパスにも言える。むしろ、1本余計に追えたことが功を奏したのではないか。リセットによる馬体の成長と伸びやかなフォームで、先週のラスト1Fより速い12秒7。状態には太鼓判を捺せる。

ルヴォルグ同様、水曜の坂路で最終追いを済ませたのがシークレットラン。54秒8~12秒8での馬なりで微調整程度だっただけに、先週のウッド追いを参考にせざるを得ない。そこでは6F82秒4での1馬身先着と、ここ照準の青写真通り。唯、もう少し幅が出て欲しいとの印象を変えるつもりはない。

木曜追いはアトミックフォース。こちらもしまい重点で4Fからでも16秒9という緩さで正味上がりだけ。とはいえ、ゴールに近づくにつれ、ダイナミックになっての1F12秒5。柔軟性が増したからこそのアクションで冬場以上のデキを改めて実感できたのだ。そのフリージア賞でさえ2分を切る好時計勝ち。当条件であれば別馬と見做して◎。

日曜9Rも3歳OPでこちらはダート戦。当然ながらハイレベルな面々の中、最右翼に位置するのがデアフルーグ。少々稽古のテンポを落としたここ2走でさえ、他との違いが際立った。しかも、今回は直前まで6F追いで、前回時からでも大幅な時計短縮と非の打ちどころがない。確かに、ワンターンは今回が初。けれども、ハンドル操作が容易い上に、ペースの緩みに乗じて進出したわけではないレース振りがある。血筋からはむしろ距離短縮での真価発揮も期待できるわけで、ノンストップでのJDダービーという目論見が叶いそう。

唯、別路線からのアガラスが立ちはだかっても不思議ない。古賀慎厩舎だけに、美浦で入念に攻めるということはないが、直前の3頭併せは大きく追走しての併入で5F66秒7。中身が濃い上に、見た目からして素晴らしい造り。この上昇ぶりは季節的な要素もあるのでは。長く脚を使えるパワー型で、折り合いの懸念がなくなる距離と立ち回りの上手さのみでは乗り切れぬ条件設定。変わる要素が揃っている。

平場戦はラス前の新潟から。まずは土曜3Rのラステラデファルコでダート替りを狙い撃つ。昨秋以来、勝負に関われない状態だが、その芝で最低が7着だから崩れてもいない。要するに、速い脚を使えぬままゴールを迎えてしまうわけだ。とはいえ、発達した胸前がひと際目につく好馬体で未勝利クラスを遥かに凌駕する立ち姿に動き。加えて、今回の短期放牧を境にビッシリ追えるようになったのだ。最終追いなどは、正面からぬウッド入りから長く助走を取った上での3F37秒0だったから並みの身体能力ではない。ゲートの不安、或いは砂を被ってどうか、などの課題はあっても馬自体が劇的に変わって適条件。見逃す手はない。

500万下では日曜7Rのスーパーノーマル。今回が再転入初戦になるが、スムーズな動きを連続して披露。殊に、1週前は道中で後ろから窺う態勢。つまり、ペースメーカーに格上を据えるほど余裕があっての直線、お釣りがなくなる相手を瞬く間に2馬身置き去りにしたのだ。公営ラストの2走で楽々と資格を得たからといってダートを主戦場にするタイプではない。現に、スパートに入るや気持ち良さそうに脚を伸ばして首の使い方もスムーズ。速い時計を出そうと思えば可能だった3歳時は、上っ面を撫でたような走りで推進力を感じさせなかった。その頃とはまるで違う。






柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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