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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2019年11月14日(木)更新

【マイルCS】ダノンキングリー◎に躊躇いなし

直線がフラットな京都とはいえ、GⅠだけにラストは激烈になること必至。例年通りに手に汗握る攻防になるであろう中、天皇賞で復活を遂げたダノンプレミアムを巡る争いというのが下馬評。順調さを欠いたダービー、スタート直後に致命的な不利を蒙った安田記念を除けば崩れていない安定味がポテンシャルの証。当距離の持ち時計が1.32.6秒と数字面の裏づけもある。しかし、強力なラインナップの関東勢も黙ってはいまい。


その筆頭が3歳ダノンキングリー
確かに、キャリア豊富な上の世代、この距離のスペシャリストをも含むとなれば分が良いとは言えぬ。が、出負けしながら目の覚めるような脚で差し切った毎日王冠があればその懸念も一掃される。しかも、秋を迎えて更なる進化を遂げた。春以前、仕上げの総決算はポリ。それは、ひと夏超えても同様ではあるが、5Fからハイラップで飛ばすパターンに様変わり。実際、入りは14.8秒で前を猛然と追いかけた結果、上がりに至って37.2秒をマーク。攻めに攻めた1週前のDWもあるのだから、長距離輸送を控えているにも関わらず、異例の過程を踏めたということ。
クラシックディスタンスでの2.22.6秒は底力のなせる業だし、キャリア2戦目のマイルで1分33秒台を叩き出せたほど。躊躇いなしの◎。


警戒しなければならぬのがレイエンダ
速い時計の決着に限界があり、と思わせた東京新聞杯からの変り身が凄いからだ。前半4F47.0秒と落ち着いた流れに嵌って不思議でなかった富士Sで豪脚を見せつけたのなら本物。追い切りは朝一番のDWで単走と際立つ内容ではなかったが、5F68秒台は前回同様のルーティーン。道中のコントロールが利いて実にスムーズだったことから、精神面の充実も強調しておきたい。


同じ富士S組で捨て切れないのがエメラルファイト
-10キロというのが誤算で、追い切りで動き過ぎた反動、謂わばオーバーワーク。しかも、馬の行く気に任せてなし崩しといった総括が当て嵌まるレース運びでは……。
けれども、手応え抜群に先頭に並びかけるなど、距離適性が垣間見えていた上に、時計を抑え気味にしながらも追走して外、中身の詰まった5F69.6秒ではち切れんばかりの馬体を見せつけたのが今回。控える競馬に転じることを大前提に一変を見込む。


ダービー卿CT→ヴィクトリアMで連続2着、高速決着には滅法強いプリモシーンの取捨がポイント。
何せ、イレ込みがあったとはいえ、府中牝馬S15着は案外過ぎるから。確かに、木村厩舎の定石通りに3頭併せを消化してラストで抜け出した直前には及第点を与えて良い。しかし、牝馬らしからぬパワフルさには目を瞠らされる反面、流れるような体の運びが消えているのが現状。復調は先と見切った。


西下組からもう1頭、土曜・アンドロメダSのマイネルサーパスを。
先週の福島記念除外が何とも無念。レコード勝ちもある得意コースに照準を合わせていたからだ。現に、全体的に緩かった秋初戦とは雲泥の差、迫力がダイレクトに伝わってきたほど。更に、仕切り直しで輸送を控えているのであればサラリと終えるのでは、という予測を大きく覆す5F66.3秒の併せ馬で締めたのだ、ピンポイントより1F長い距離に挑まねばならぬが、鮮やかな上昇カーブを描いて臨む53キロ。京都の内回りならそれは杞憂に終わりそう。


最終週を迎える福島でもリステッドRが組まれている。ダートのここも高木厩舎でマイネルユキツバキ
こちらも叩き2走目でシェイプUPが成った。何せ、前走は輸送があっても+4キロと重目が残った上に、高速ダート。それを含め、OP入りしてからの2戦で1秒に満たない差と伸び盛りなのだ。まして、中間にはウッドを取り入れてバリエーション豊富だし、最終追いの坂路が52.2秒と大幅な時計短縮。目論見通りの良化ぶりに加え、脚の使い処が鍵になる側面もある1800mからの転戦。以前からローカル巧者と見込んでいた馬の真価が見られる筈。


府中に目を移してまず取り上げたいのが、土曜・ユートピアSのレッドベルローズ
自己条件に戻って得意の左回りなら3歳スイープセレリタスに支持が集まるのもやむを得ないが、こちらの勢いも凄い。特に、前走は待機策では難しい展開でも地力の違いを見せつけた。骨折によるブランクからの立て直しに時間を要しただけで、今からが旬。なるほど、引き締まった体にそれが表れているし、稽古駆けする2勝クラスに対する3馬身のビハインドなど微塵も感じさせぬ併入が直前と非の打ちどころなし。元々、キャリア不足で臨んだフェアリーS3着の好素材でマイル適性◎。1F短縮が前回以上の切れを生む筈。


ここからは2歳戦でまずは日曜・赤松賞から。単なる1勝クラスと見做してはいけない充実メンバーの中、目が行くのは尾関厩舎の2頭出し。ジェラペッシュとショコラブリアンの前走はともに強力な相手に揉まれながら大崩れなし。しかも、この両馬が併せての追い切りで1F12.4秒と甲乙つけ難い伸びを披露して首位争いは当然。
常識的には二者択一ということになろうが、スリリングドリームを見限ることはできぬ。
6着に退いたアイビーSは、前半で制御が利かなくなっての自己完結。札幌以来とレース間隔が開いた上に、変則日程で最終追いが月曜。つまり、平常心で臨めなかったことに関してエクスキューズが成り立つのだ。それを踏まえた今回は運動量を保ちつつテンションを抑えた調整。最終追いの単走がそれで、DW4F手前からコース入りして流す程度。ハリや動き自体は頗る良いだけに、この工夫が実を結んで不思議ないし、過去2戦の左回りで致命的に口向きが悪かったわけでもない。実戦を経てトップフォームに至るタイプとの見立てが妥当なのでは。


未勝利戦では日曜3Rのダイワミラクル
基礎体力の面で問題ありと思えたのが前走。が、そこでは追い切りが木曜にずれ込むといった狂いが微妙に影響して側面も。逆に、今回は最後まで腰を据えての調整が叶った。直前でも3頭併せを敢行できたほどだし、日曜には行き出し6Fと質UPは明白。前回、内で我慢させた道中があってその効果が窺える集中力を見せているのがこの中間だし、追っての味を生かせる1F延長も大きなフォローに。


福島4Rのチュウワジョーダンは夏のデビュー戦以来。
素質馬揃いのそこでは手応えのわりにしぶとさを発揮して4着と十分過ぎる収穫を得た。また、美浦入り後の1本目が坂路での一杯追いだったように、体質強化を前面に出せている。現に、最終追いにはDWを選択して5Fで1.4秒追走する態勢からの脚色優勢。八分処を選んでのラスト13.1秒で時計を詰める余地十分だったのはフォーム自体が以前と違うから。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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