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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2020年01月16日(木)更新

京成杯・柴田卓哉の調教予想

漸く通常の土日開催に戻る今週のメインは京成杯。キャリアが問われぬGⅢといった反面、世代のトップ戦線にまでは及ばないといった傾向も。となれば、11月のデビューが鮮烈だったスカイグルーヴ


牝馬ながら圧倒的な支持を集めるのにも頷ける。何せ、本馬場調教といった風情での2.01.4秒、ラスト2Fに至っては11.2-11.1秒が極めて速い。ノープレッシャーでメンバーの質が著しく低かった点は目を瞑って単体で評価すべきなのだ。
問題は牝馬特有のデリケートな面をどうケアするか。それが併せ馬に参加しない形での単走や、1週前の変則メニューに表れている。確かに、追い切りとなればさすがに他2頭とシッカリ体を合わせてのフィニッシュだったが、三分処での5F69.4秒とやはりセーブ気味。同じくキャリア2戦目だった昨年のラストドラフト以上といった気はするが、コース替りや気分良く行けなかったら、といった課題も。他がつけ入る隙はある。


その筆頭がビターエンダー
軽いソエが出ての一息後になるが、歩様を見る限り、心配は無用。美浦入りしての1本目で併せ馬をこなせたほどだからだ。加えて、追うごとに時計を詰めたのが先週までで、9日には古馬3勝クラスを猛然と追いかける形での5F65.3秒と一気にハードルを上げられても応える雰囲気なし。最終調整の木曜こそ4馬身先行の5Fスタートと控え目だったが、3歳を迎えて垢抜けた馬体に。ラストでの回転数UPにも納得が行く。


中山に替った前走が好時計と漸くポテンシャルが露わになったゼノヴァース
こちらは順調に使い込めているだけに、微調整での状態キープがメインテーマ。中間は坂路で最後の仕上げにウッドというのもルーティーンで調子には太鼓判を捺せる。木曜の朝一番にウッド入りしての終い重点で、5F70.5秒と目立たぬ時計だったが、ストレスを避けつつも目論み通りの伸び脚披露と軌道に載った。スカイグルーヴ同様、気が急くタイプだけに道中でリズムを崩すと脆そうだが、GⅢ程度であれば突破して当然といった器。


狙って面白いのがクリスタルブラック
1.53.2秒での初戦勝ちだから軽く扱われても仕方ない。唯、1000m通過が65秒超えるスローで位置取りとしては最悪。結果、長く脚を使わざるを得なかったし、外に膨れ気味の4角とロスが大きかった。にも関わらず、抜群の切れを発揮して距離に対する融通性もありそう。何より、一気の攻め強化で1週前などは5F66.3秒を叩き出して直線も真一文字。これより大幅に遅い時計でもフラつくシーンのあったデビュー前とは一変している。


他の特別戦からはまず日曜9Rの3勝クラス・初富士Sから。


ここはイェッツトで決まり。
久々だった昨11月の京都で3着。ブランク明けには厳しいと思わせたメンバー構成にあって、だ。勿論、成長度がスローといった面は打ち消せるほどではない。唯、以前より回復が早いと実感させるには十分なほど、シッカリと稽古を積めているのだ。特に、3頭併せだった先週の5F67.7秒は体を大きく使った結果で以前には見られなかったフォームだったし、木曜の最終追いもサラッと仕上げたわけはない。ラスト1Fでも1馬身後方といった態勢からシッカリと気合いをつけてゴールに飛び込んだ。体質強化は歴然で昇るべき階段のまだ途上。OP入りに向けて足踏みは許されぬ。


土曜の後半は2勝クラスにスポットを当てて10Rの初風賞でアルマスティングを。
9月以来となった暮れには2着争いに加わった。軟弱なメンバーだったのは確かだし、それに臨むに対して十分な攻め量をこなしていたから、劇的な上積みはない。唯、去勢馬にありがちな面が解消されて馬混みに嵌っても最後な集中力を切らさなかったのが2走前と大きく異なる点で収穫は極めて大きかった。しかも、乗り出しはすぐで、直前のDWでも田村厩舎らしく小気味良く飛ばしての道中からの追い比べ。ラストでは内を根負けさせるような圧力をかけての1馬身先着とシッカリと脚を使えたのだ。きっかけを掴んだ明け4歳に逆らう必要なし。


3歳未勝利からは土曜5Rのダノンファスト
デビューからの2戦で3着続きと額面上はひと押しが利かないといった結果。が、いずれも最終追いが坂路で流す程度だったのとは逆に、調整パターンを変えてのウッドが直前。それも、5Fで2秒近く離れた前を目標に。そして、アクセル踏み加減となったのがラスト1F手前。にも関わらず、弾力性のあるアクションで1馬身差にまで追い詰めるは中身の濃さを伴っていた。
抑える競馬を覚えさせる意図があって、それを即マスターとセンス◎だった上に、少々窮屈な直線だった分、脚を余し加減だったのが前走。従って、2F延長でよりスムーズに運べるだろうし、一本芯が通ったと実感できる体つきになったのだ。初勝利に待ったなし。


新馬戦は土曜3Rを。今週は2鞍しか組まれていない故に、権利持ちだけでも17頭に上る。唯、これらのクチは除外があった分、十分に乗り込めたという側面も。


最終追いが坂路での54.2秒だったシェダルは好仕上り。
10月の時点で一気にピッチを上げたが一頓挫といった誤算はある。唯、先月に再入厩した時点で抜群のハリを誇っていたし、1週前の遅れにしても格上相手だけに仕方ない。むしろ、水準以上の5F67.7秒に着目すべきで、四肢に力の籠ったフォームには大きな魅力を感じる。


もう1頭の◎候補がサクラトラジャー
最初のうちで遅れが目立っていたのは、トモが薄い面が見受けられたのと、ペースUPに対応できぬ幼さ故。しかし、本数を重ねることによって基礎体力がついて全身を使えるように。結果、年明けからは難なくパートナーについて行けるようになった。つまり、稽古をすぐに実を結ぶ感じで、好素材たる所以。特に、古馬相手の最終追いでは追えばいくらでも伸びそうな気配があっての1F12.1秒。手応えが楽なままでの併入で実戦での勝負強さを窺わせるには十分であった。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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