金鯱賞の追い切りレポートは
≪重賞データ・傾向と分析≫
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中京の土曜はファルコンステークスがメイン。朝日杯からの1F短縮で人気を集めそうなのがトリプルエース。但し、成長曲線が様々といった段階で、それに当て込める馬も。特に、美浦勢が面白い。
まずはアプソルティスモ。
クロッカスSはレースの上がりが33.5秒と前残りになる中、抑える競馬が裏目に。確かに、未だ教育を施される身にあってここ2戦のインパクトは今ひとつ。しかし、1.33.5秒というマイルの持ちタイムが性能そのものだし、行き出し6Fながらコントロールの利いた道中から持ったままでの1F12.3秒と実に鋭い。当コース経験済みといったことにここ照準が透けて見えるし、距離2度目。積極策に転じての一変がありそう。
◎はフェアリーステークスからの巻返しを図るクチと考えても良い。まずはシャインガーネット。
そこで人気に反する4着だったのは短い直線を意識した故の早仕掛けが災いに。勿論、昨11月で見せた鋭さが物語るように、左回りでの待機策が現状ではベスト。従って、距離短縮で持ち味が凝縮される点、広いコースと状況は大幅に好転するわけ。デキのほどは、1週前の3頭併せで持ったままでの5F66.1秒が示す通りで弾力性に溢れていたし、直前の坂路に至っては50.8秒。ピークに達した。
狙って面白いのがペコリーノロマーノ。
年明けは周りを固められる形で進んだ為、その重圧から直線では余力を失っていた。加えて、タフな中山に耐え得るほどの基礎体力がそのわっていない現状でもある。対して、左回りの当距離は2戦2勝と見た目に似合わぬしぶとさを発揮できるのだ。コーナリングがスムーズなことによってラストまで踏ん張れるということ。また、今回は初めてウッドを取り入れて鍛錬に余念がない上に、3角からの加速がスムーズでラストも気持ち良さそうに体を使えているのが何より。
中山は牝馬ウィークで日曜の中山牝馬ステークスから。ターコイズステークスからの1キロ増が鍵になるが、問答無用の逃げが中山にマッチするのがコントラチェック。
要するに、馬に気に逆らわぬ形でもゴールまで保ってしまうわけだ。繊細な部分をコントロールするのがテーマになるだけに、間隔を開けたことよって調子の波が大きくなるといった心配はない。現に、透けるような皮膚の薄さには気品さえ漂うし、キビキビした捌きに終始した最終追いが5F65.7秒と時計面でも文句なし。
ここがスランプ脱出のきっかけになりそうなウラヌスチャーム。
牡馬相手のGⅡだった前走の総括は馬場。軟弱な馬場だった上に、外に膨れる馬を避けて更に悪い内へと、切れを封印させるにはこれ以上ないといったレース運びでは……
ただ、伸びやかフォームを見せつけているのがこの中間だし、ラスト2週に差しかかってからは、一気に負荷アップが伝わってくる併せ馬消化と青写真通りの良化を辿ってきたのだ。ハンデは惜敗だった昨年と据え置き。強烈な決め手を発揮するのはここを措いて他なし。
他では日曜10R。今一度キャプテンペリーを追いかける。
冬場とは思えぬ毛ヅヤとハリを誇っていたのがここ2走。けれども、京都をこなせるほど守備範囲は広くないし、ニューイヤーステークスに至っては包まれて持ったままでのゴールインと巡り合わせが悪かった。逆に、消耗は皆無で活気に溢れているし、1馬身遅れだったとはいえ、痺れるような手応えに終始しての5F66.4秒が最終追いと申し分のない中身を消化できている。
ここからは3歳戦で土曜メインのアネモネステークスから。キャリア不足は承知でもバルトリで間に合うのではないか。
地力強化が確かなビッククインバイオにとっての中山はインパクトに欠けるし、シャープな身のこなしがあっても5F70秒を超える時計が最終追いと目論見通りのパワーアップとはいかぬフェルミスフィア辺りが人気だからだ。
確かに、美浦入りしての本数は少ない。ただ、ストレスをできる限り与えずに進めるパターンはデビュー戦同様だし、それでも辛抱強くレースを進められるタフさがあるのだ。とはいえ、その11月に比べれば確実に幅が出ている上に、DWでの2本には小兵とは思えぬ力強さも。全身バネといった形容が当て嵌まる点で好感度は更に上がる。
あとはクリノプレミアム。
こちらは使い込んでのタイプで実戦を経ての成長ぶりが凄い。つまり、前回での馬体減が研ぎ澄まされた故で、それに磨きがかかっているというのが現状。しかも、追い切りでは一気に時計を詰めての5F66.2秒で大きく体を使えているのだ。末脚を生かす競馬を即マスターしての前走がいきなりの上がり最速、新境地を開拓直後といった勢いに乗る手も。
平場戦では日曜5Rのクラウンフォース。
3頭併せの真ん中というのは前週同様だったが、相手の質アップがあった上に、併入に持ち込んで2秒近く詰めての5F65.9秒だったから目を瞠る。デビュー戦6着とはいえ、0.6秒差に過ぎなかった。フワフワとした走りだった前半のロスを考えれば見上げたものだし、1F延長も。易々とバテぬ特性を存分に生かせる。
最後が土曜2Rのキャルベイでここはタダ貰い。
何せ、時計を要する週だったデビュー戦、1.56.4秒に非凡さが表れているし、上がりが38秒を超える中、正攻法で進めても最後まで脚を失くすことなし。デビュー勝ちを果たした内に先行とアドバンテージはあっても結果的には同時入線でのラスト12.0秒と機敏性が増したし、それを含め、ラスト2週が3頭併せとハードルが高くなっても応える素振りなし。軽く通過しなければならぬレベルにある。
柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。