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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2020年04月09日(木)更新

桜花賞・上位を脅かす関東からの刺客

力量差が紙一重の桜花賞は、来週の皐月賞以上に興味をそそられる。
基本として、同じ阪神のGⅠをピックアップすべき。すなわち、1.32.7秒のレコード、5馬身差といった独壇場だったレシステンシアをまずは挙げるべきか。トライアルで取りこぼしたのはスローに落としたゆえ、後続の目標に、といった展開のアヤ。武豊なら同じ轍を踏まぬであろう。

そのチューリップ賞、しぶとさを存分に発揮したのが関東馬・マルターズディオサ
残念ながらその後は栗東に滞在した為、調教を目の当たりにできないが、字面を見る限り順調そのものだし、稽古と実戦が結びつくタイプでパフォーマンスの低下はあり得ない。ただ、相手なりに走るためには前を目標にしなければならぬ。そこで突き抜けるまでの鋭さはまだ身についていない。伏兵といった評価が妥当。

その組ではクラヴァシュドールも俎上に。
確実に脚を使えた反面、ゴーサインに即反応といった感じではなかったのが2歳時。したがって、巧みに内を突けた前哨戦に大きな進歩を感じたし、当然ながら外回りもピタリ。

ただ、その設定に対する適性というのであれば●●●●●●。


柴田卓哉の桜花賞・特注馬3頭は
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ほぼ同等の評価でデアリングタクトも。
やはり、終いの切れが際立つタイプで底を見せていないのが何より。時計、相手関係を云々するのが徒労に終わりそうなスケールの大きさ。それこそGⅠ馬に相応しいのでは。


中山メインは土曜のニュージーランドトロフィー。
NHKマイルカップに向けてのステップとなる一戦で、支持を集めそうなのが、2戦2勝のルフトシュトローム
いずれもが当舞台で、前走では時計を一気に2.5秒短縮。その時点でも前後のバランスに限れば今ひとつで、途上といった段階だったことに加え、レースでも手前換えがスムーズでなかった。にも関わらず、直線では他を圧倒したのだ。豊富な筋肉量を誇るからこその爆発力であった。
直前の4F追いを含め、オール単走の過程だが、実戦を経るごとに体が引き締まってきたのは何より。同じく前開催の勝ち上がりといった過程、1週違いでハーモニーマゼランが1.33.8秒をマークしているが、それよりも遥かに高い評価を与えるべきではないか。

フラワーカップから中2週になるシーズンズギフトは好調キープ。
そこでは、やや掛かり気味の道中が詰めの甘さに繋がったという以上に、コーナーワークで消耗する現状だけに、牡馬に混じるとはいえ、条件変更がプラスに働きそう。ただ、推進力がマックスになるのは高速ターフ、それも平坦といった走りから脱していない分、押さえの域を出ない。

むしろ、面白いのはファルコンステークスからの巻返しを図るクチ。脚を温存し切れぬ態勢だった上に、道悪が能力を封印と、ともに敗因は明確だから。
特に、ウイングレイテストは直前で控え目ながらのマイナス6キロが誤算だったし、位置取りも中途半端。対して、それでスイッチオンとなってのラスト2週は豪快な身のこなしを披露と、今度こそ本物。デイリー杯2歳ステークス2着の実績を忘れてはならぬ。そのイメージで運べば一変まである。

アブソルティスモを見限ってはいけない。
11着の大敗は出遅れが全て。そこに至る過程のウッドではシャープな動きが再三だったから、状態面がネックだったわけでもない。現に、遠征後の立ち直りは早く、坂路で2本、徐々に時計を詰める過程を踏めているではないか。要するに、きっかけ一つで、それを叶えるのは戦法。馬に気持ちに逆らわぬ形でのマイル1.33.5秒が昨10月。潜在能力の表れと捉えて良いわけで、自身のピッチを落とさぬ形で進めば残り目はある。


中山の他ではまず3勝クラス、日曜・美浦ステークスのトーセンスーリヤから。
2月の京都では、直線で各馬が横に広がる大激戦の中、際どい3着に食い込んで地力強化を存分にアピールした。そこから間隔は開いたが、美浦入り2本目で掛かる仕草があった反面、それがガス抜きをなった以降はスムーズな動き。特に、ここ2週はラストで全身を余すことなく駆使する見事なフォームでいずれも好時計をマークと非の打ちどころなし。
好天が予想されるとはいえ、速さ負けはなさそうな馬場で自在味と勝負強さを発揮できそうな状況なら、ここでのOP入りは手にしたも同然。


あとは芝スプリント戦にスポットを当てる。日曜11Rの春雷ステークスはナランフレグ
暮れの中京、大外から豪快に伸びて抜け出したようにベストは長い直線を控えたコース。ただ、今回より数段上の相手に混じった前走は京都でのGⅢ。しかも、0.1秒差と際どく前に迫ったのだ。確かに、弓を引き絞るかの如く、直線までは我慢といった戦法しかない。しかし、コーナーでついて行けなくなる右回りをこなしたように、幅を広げているのだ。しかも、終い重点の宗像厩舎とはいえ、行き出し5Fの3頭併せを敢行。特に、ラスト1F地点でもまだ2馬身後ろといった態勢からのエンジン点火で瞬く間に並びかけた切れには目を瞠った。厳しい流れを克服して勝ちに等しい3着の小倉を経たイエローマリンバを捕まえ切れるかどうか? 連なら気持ちその1点。


もう1頭は土曜10R千葉日報杯のヴォイスオブジョイ
クラス3走目だった2月・府中は6着と不発。ただ、条件が限られる分、その距離では注文がつく上に、前残りとあっては仕方なし。それ以上に、昨秋から使い詰めでルーティーン消化と言えば聞こえは良いが、メリハリを利かせられない稽古であった。
逆に、間隔を開けて活気がふんだんに溢れているのが今回。内から測ったように追い抜いての先着だった1週前だけでも十分なのに、直前には弾むようなフットワークに終始して5F63.8秒ととどまる処を知らぬ。1勝2着3回の中山替り、開催が進んで上がりを要する馬場となれば届かぬことはなかろう。


例年と異なり、4週開催となる福島の日曜メインは、デザートスネークで決まり。
同じハンデ55キロだった仁川ステークスは、展開的なビハインドと距離。OP通用のポテンシャルに疑いを挟む余地はないが、中央場所での真っ向勝負となると分が悪くなる。
ただ、相手弱化に加え、2勝2着1回の福島は格好の舞台。また、いつも通り単走の繰り返しだが、帰厩後の1本目が坂路53.7秒と遠征が2度続いた反動など微塵もないし、行き出し4Fの終い重点だった最終追いでは外ラチ沿いをダイナミックなフォームで駆け抜けたように、感触を確かめる程度でも十分なほど入念だったわけ。先週、最後の最後で初勝利を挙げて吹っ切れたルーキーへの手替わり。勢いを加速させてくれる。


あとは3歳戦で土曜・ひめさゆり賞を。
一応の様相は激戦だった2月・小倉での惜敗が評価されて然るべきレザネフォールが頭ひとつリードといったところ。ただ、昇級初戦の先月は軟弱な馬場に脚を取られて自己完結といったミッキーハッスルには開幕週の芝といったことだけでも巻き返す要素となるし、前週から一気に時計を詰めた追い切りが素晴らしい。初勝利を挙げた舞台なら。
けれども、より魅力を感じるのがリョウガ
ここまでがダート。初戦は全く力を出せずに終わったが、持続性を問われた年明けの中山がワンサイド。これにはチークP効果に依るといった見方もできるが、身体能力がダイレクトに表れたといった面があったし、この中間には柔らか味が増したフォームを見せつけている。田中博厩舎らしく、4F追いで流した程度だが、加速を促した1F過ぎからは1勝クラスの範疇を超える弾けよう。芝の中距離でこそ。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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