天皇賞どんでん返しの立役者は?
阪神大賞典で一躍有力処といった立場に割り込んできたのがユーキャンスマイル。
ただ、出入りのある意外な展開にあって脚を温存できた上に内を上手く割れた。ピタリ嵌めたといった要素が大きかった分、鵜呑みにできない部分も。フィエールマンに対して1.5秒遅れを取った昨年からの進歩は認めても、その差を覆すには至らず。
それならばキセキ。
出負けしてなし崩しだった前哨戦でガス抜きはなった筈だし、唯一のGⅠが3歳時の菊花賞ということで京都替りでの巻き返しは必至。そもそも、凱旋門賞→有馬記念でフィエールマンとは1勝1敗の五分。底力を侮ってはならない。
そしてもう1頭、是非とも挙げておきたいのが・・・
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東京は両日ともにGⅠに向けてのトライアルがメイン。
まずは土曜の青葉賞で、実績面で抜けているオーソリティが支持を集めそう。
デビューからの連勝で臨んだホープフルステークス、そして、今年緒戦となった弥生賞ともに真っ向勝負を挑みながら大崩れなしといった点に非凡さが。しかも、ダービーを見据えてのローテに切り替えたこの中間、鍛錬に励めたのが何より。結果、直前でもラストまでビッシリ追っての1F11.8秒。全身バネを思わせる身のこなしになったわけ。ただ、如何にも切れるといったフォームに様変わりした反面、広いコースでの2400mが合うのか? ここは少々評価を落としてみる。
逆に、浮上するのがフィリオアレグロ。
共同通信杯3着でも案外といった印象を受けるほどの好素材。厩舎のパターンを踏襲した終い重点の併せ馬での重心を沈めてのラストだった上に、1週前などは古馬3勝クラスを1.0秒以上も追走する態勢から余裕綽々での同時入線。2月、プラス18キロでの出走で、数字的にはそのぐらいが妥当ではあっても、厳寒期で緩さを残したままだった当時とはキャンターでの動きからして全く違う。
もう1頭の◎候補は大穴コンドゥクシオン。
勝ち味に遅いといったイメージで力馬タイプとの見立ては間違い。その実、稽古では軽やかな捌きを見せているし、ここにきて柔らか味が出て完歩を大きくなったよう。それはひと追いごとに時計を詰めている過程に表れているし、最終追いでは1馬身遅れとはいえ、自身のベストを更新する5F65.5秒をマークと上昇一途。何より、器用さに欠ける分、札幌2歳ステークスを始め、脚を余すシーンがあった。それでも2000mの持ち時計は2分を切っている。そのポテンシャルに府中替りという要素が加わるのだから心強い。
日曜・スイートピーステークスはミアマンテ。
フラワーカップは前をカットされる不利が如何にも痛かった。勿論、紛れの少ない設定で決め手を発揮するのは格好となる上に、小気味の良さは相変わらず。無論、もっとフックラして欲しいといった段階だが、ラスト1F地点でも2馬身後ろに位置しながら、目論見通りの反応で内との併入に持ち込めたのは非凡な切れ故。それが大いに生かされる馬場でもある。スケールを感じさせるデビュー勝ちでここに間に合わせた関西馬デゼルを凌げるか否か。
他の特別戦は3勝クラスにスポットを当てて日曜・晩春Sのスイープセレリタスから。
叩き2走目でシッカリと絞れた阪神では惜しい3着。少々軟弱な馬場だった分、反応までにタイムラグがあったが為の0.1秒差で着実に力をつけている。更に、適度な落ち着きを見せていた直前では、3頭縦列の最後尾から進んだにも関わらず、4角手前ではいつ抜け出そうかといった手応えであった。セーブ気味で併入に終わったが、回転の速いフットワークに磨きがかかった模様。余裕残しだった2月以外、4着以下なしと捌き易い当コースであれば取りこぼせぬ。
ダート戦になる土曜・春光ステークスは、現級に目途を立てた4歳2頭に注目が集まっている。
確かに、下総ステークスでの激しい2着争いには一定以上の価値を認めて良いし、幅を広げた結果とも言える。ただ、坂路55.0秒とセーブ気味だったのがラージヒルであり、楽に先着して良い相手に手古摺ったのがダイシンインディと、勢いが失せた感も。
そこで抜擢したのがリフトトゥヘヴン。
昇級してからのダート3戦でも見せ場なし。しかし、ゲートが悪くてチグハグな運びになった。それは、シッカリと稽古を積めなかったことから精神的にもレースに入り切れなかったのが要因。対して、リフレッシュした今回は中間には5F67秒を切る併せ馬まであって質、量ともに大幅にアップ。上手く体を使えるようになった何よりの証しが、OP相手に脚色で圧倒できた最終追い。元々、左回りできっかけを掴んだ経緯も含めれば、条件替りで狙い撃つのが道理ではないか。
1勝クラスの3歳戦、まずは土曜6Rでここはサクラトゥジュールで決まり。
テンションを抑える為に、追い切りは敢えて単走の形に。他2頭に挟まれる感じで進んだ道中から直線に向くと内に切れ込んで真一文字。挙句、上がりは38秒を切ってランクが違うと実感させる反応であった。
すぐ後ろの入線、最外にコースを取ったフィリオアレグロをも凌ぐ動きには感心しきり。1F短縮で鞍上とのコンタクトも容易くなる上に、少々ユッタリ構えても間に合う直線の長さがある。持ち時計通りの評価で良かろう。
土曜7Rはアイスシェルフ。
2月以来となるが、府中を待っての入念な調整。2週前の段階でも太目感なしで、豪快な伸びを見せていたほどなのだ。そこから2本重ねたことでより前向きになった最終追いがまたまた迫力満点の5F66.5秒というのだから非の打ちどころなし。正攻法で進めた休養前の一戦がハイレベルで、気の良いタイプだけに1F短縮にも難なく対応可。高い操縦性が自在味を生んでいる。

柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。