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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2020年05月14日(木)更新

女王争いは豪華絢爛きらびやか

ドバイに足を運んだだけといった不運を託った2頭の参戦で、例年を大幅に上回るレベルに達した日曜・メインのヴィクトリアマイル。中でも、国内にとどまらぬ名声を獲得しているアーモンドアイが牝馬限定戦に臨むのであれば、抜けた存在。しかも、ピークを迎えようかといったクロノジェネシスが大阪杯でラッキーライラックに捻じ伏せられた事実が、現5歳の質を物語っている。

問題はそのデキ。しかし、それに疑問を差し挟むのは無謀であろう。
ここに向けての本格始動は1週前に過ぎぬが、海外遠征を視野に入れた仕上げを施していた分、そこからは微調整で十分だったろうし、3頭併せでの先着で3Fに至っては35.5秒だったから驚く。重心を低くしての弾け方は最終追いも同様で、微塵の狂いもなし。底力を問われるシーンで他との違いを際立たせてきたから、マイルがベストとは言えないにしても評価を下げるわけにはいかぬ。

当然ながら、ライバルはラヴズオンリーユー
無敗が途切れたエリザベス女王杯が爪の不安によるブランク明けだったことを考慮すれば、仕上げも容易かろう。アーモンドアイ同様、ドバイを目標にしての仕切り直しだからだ。更に、2歳秋のマイルが軽く吹かした程度と、相手云々には目を瞑れるほど別次元。距離適性、高速ターフに対する適性、底知れず。

穴馬は阪神牝馬ステークス組から。 注目は・・・

柴田卓哉のヴィクトリアマイル・特注馬3頭は
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同じ東京新聞杯で復活したのがプリモシーン
牝馬ながら56キロを背負わされた前走は、中山といった要素も含め、エクスキューズは成り立つ。ただ、今回は帰厩後に本格的に追ったのは直前だけ。そこでは1F11.7秒とさすがの切れを見せつけたが、6F追いもあっての臨戦だった昨年との比較で劣る分、押さえ程度か。

このレース、ポイントになるのはコントラチェック他、レースを引っ張る馬が揃ったということ。その恩恵を受けそうなのがスカーレットカラー
昨秋の府中牝馬ステークスをイメージすれば上手く嵌められそうだし、前哨戦でも自分の型に徹して当距離の持ち時計を一気に短縮して更に幅を広げた。そもそも、3連勝と波に乗るサウンドキアラ同様、いずれも最強牝馬世代。それだけでも上位を賑わすであろう立ち位置に。

土曜の京王杯スプリングカップは、タワーオブロンドンの実績が抜きん出ている。
高松宮記念は馬場に泣かされてレースにならなかったから消耗も少なかろう。昨年同様のパフォーマンスを期待すべき。けれども、単走で追われた先週が6Fから持って行かれるような感じ。丁度、案外だったオーシャンステークスの直前とダブるわけだ。58キロといった点でも死角あり、としたい。

その状況で急浮上するのがステルヴィオ
スプリント戦でスンナリ流れに乗れるほどの経験値がなかった故の前走9着。が、阪急杯で窮屈だった分の0.2秒差を思えば、広い府中での1400mがピンポイントだろうし、ゴムマリのような身のこなしは中間の6F追いからして見受けられた上に、セーブ気味だった最終追いにしても内が迫るまで待つ余裕があっての5F66.6秒。憑物が落ちたかのようなスムーズな体の運び。スランプに喘いだ昨春以降とは一線を画している。

むしろ、脅威になるのはブリンカー効果が窺えた上に、これまでの重賞制覇がいずれも左回りだったグルーヴィット。以上にケイアイノーテックを絡めた3連単で美味しい処を頂く。

他では、日曜9Rのテレ玉杯、2月の現級突破まであと一歩だったパルティアーモ
強力な4歳牡馬に対して内を掬われた形。ロングスパートをかけた結果だから、勝ちに等しい内容だった上に今回が牝馬戦となってタダ貰い。半マイルからスムーズに加速する調教を繰り返して、最終追いは単走で流す程度での5F69.7秒。が、殊さら発達した胸前による駆動が実に力強く、牡馬と見紛う豪快さが何より。遡れば、2歳夏デビューながら翌春までにトータルで9ヶ月弱の休みを挟まなければならなかったひ弱さが、当時の面影は欠片さえ見えないのだから、昇級初戦で府中をクリアできたのもむべなるかな。そこからの2F短縮など些細なこと。

3歳戦に目を移してまずは青竜ステークスを。層の厚いカテゴリーでタガノビューティーを始め、関西勢が粒揃い。ただ、ここはダノンファスト
先行しての同時入線で5F70.7秒に過ぎぬ時計と感触を確かめた程度が直前。が、中間には古馬との併せ馬で一気に負荷をかけられたように、馬体重こそさほど変わらぬが、冬場とでは体つきが違うし、それに伴ってダイナミックさが増した。無論、完成形を見るのはまだ先とはいえ、アクセントを利かせ易いワンターンで更なる進化を遂げそう。
相手本線も関東馬。2月・ヒヤシンスステークス回避からの一叩きで稽古の質を順当にアップできたデュードヴァンの末脚は強烈。あと面白い処ではイモータルスモーク。前回時からポリに移しての調整で、鋭さを磨くという目論見通りに。しかも、ユッタリと5Fから入っての半マイル加速。これは、コントロールが容易くなったと同時に、集中力が出た故。自らレースを投げてしまった伏竜ステークスは度外視できるし、昨11月とも大きく異なる。

最後に未勝利戦から日曜4Rのデルマラピスラズリを取り上げる。
中1週だけに、これまでとは異なり、坂路での3F40.4秒にとどまったが、馬混みに揉まれ込んだ前走は調教代わりと見做せるのだから、運動量としては十分。元々、デビュー前とウッドでは、豊富な筋肉量を駆使した動きが目を惹いていた上に、併せ馬で遅れそうな態勢になっても踏ん張れる身体能力をアピールしていた。パワーに偏りがちな反面、飛びが大きいから広いコースの芝で一変する余地が。仕上がり切らなかった2月に示した先行力で押し切れるだけの相手だし、新潟大賞典を制して波に乗る厩舎に乗り役。流れを引き寄せられる。

2週目を迎える新潟の両日は、3勝クラスがメイン。牝馬限定戦となる土曜パールステークスはリンディーホップが中心。
復帰しての2戦は振るわぬが、そのスタートで+16キロと重目が残ったのが誤算だったし、多少は絞れた前走は輸送を考慮してセーブ気味と敗因は明らかなのだ。
加えて、今回は広いコースで自在に動けるというアドバンテージまで。番組変更が良い巡り合わせになって、ここ2週のポリでは加速を促されると即反応と新陳代謝が活発になった故の鋭さがある。そもそも、2歳暮れのデビューながら初勝利が夏も終わろうの時期だったように叩き良化型。これは寒い時期の仕上げがままならなかったという側面も。ピカピカになった毛ヅヤが季節的な後押しを如実に物語っている。

ダート戦の八海山ステークスではシアーラインを指名する。
2勝クラス突破が限界に思えていたが、意外にも現級入りしての4戦での最低が6着と崩れていないのだ。しかも、強力メンバーに混じった京都2戦は価値◎で、軽い砂への適性を実感させた。
確かに、昨秋の当コースでは1.3秒差と水を開けられたが、久々でダッシュ一息。差す競馬を学びつつある段階だったから流れに乗り切れなかったとて悲観できぬ。対して、今回は4月1週目の抽選除外があった分、その時点で態勢は整っていた上に、仕切り直しからの併せ馬だけでも4本消化と濃密なメニューを経ての臨戦。少なくとも消耗してここへ、といったクチには負けられぬ。実際、躍動感と馬体のハリで冬場の2戦を大きく上回る。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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