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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2020年06月18日(木)更新

カフェファラオ、3歳ダート王へ邁進!

フルゲートになりそうなユニコーンステークスだが、上下に格差、如何ともし難いといった点は否めない。

それを決定づけたのがカフェファラオの参戦。

2月・ヒヤシンスステークス以来となるが、海外に照準を合わせた為で、ローテーションに関して瑕疵がないどころか、5F70秒前後の時計のみで臨んだ前回時より数段上と言えるデキなのだ。そのヒヤシンスステークスは1.37.7秒と、前週の3歳1勝クラス並みではあってもスローが影響を与えたに過ぎぬ。しかも、ゲートで致命的な立ち遅れがあったにも関わらず。
対して、当時より新陳代謝が活発になったと実感できる洗練された造りの裏づけがラスト2週での猛稽古。仮に、控え目で終わらせたとしても納得できた直前に至ってさえ、併せ馬での5F67.1秒で実に伸びやかなフォーム。無論、元からのパワフルな動きに磨きがかかっての直線などには、歴戦を経たのではと思わせる風格さえ。逃げ、差しOKを僅か2戦で証明したほどのポテンシャルは他の追随を許さぬ。

本来ならヒヤシンスステークスでカフェファラオと対決する筈だったのがデュードヴァン
が、不安が出ての回避とプランは狂った。ただ、西下しての芝を一叩きして軌道修正が叶った結果、トップフォームに。何より、デビューからの2戦や青竜ステークスでの差し切りが示すように、ワンターンでは追走に脚を使わされても動じないし、狭い処にも怯まぬ勝負根性とともに完成度の高さには感心しきり。
殊に、胸前の発達した筋肉が生む推進力は半端ではなく、古馬3勝クラスを1.0秒先行させての5Fスタートでも楽に追いついての同時入線。そのラストは迫力満点で、その点だけでも前回を上回る。

以上の2頭に迫るべき立ち位置なのがタガノビューティー
前走で弾けなかったのはレース勘が戻っていなかったが為。とはいえ、0.2秒差に過ぎぬし、ダートに関してはその3着が最低と底を見せていない。
ただ、立ち返ってのヒヤシンスステークスは自分の型に徹しての2着。持ち味を存分に発揮したにも関わらずといった点で、まだキャリア2戦目だった勝ち馬とでは器が違うような……。先に挙げた関東2騎に対しては分が悪くなる。

ダ1400mで強烈なインパクトを残した2頭を惑星と見る向きがあるのは承知。

けれども、サトノラファールの連勝はいずれも乱ペースに乗じたといった側面が。勿論、今回でも展開利が望めるメンバー構成ではある。ただ、イメージとしては切れるタイプ。息の長さを求められる府中では半信半疑。

2着に1.4秒差で1.23.6秒も文句なしといったのが前走のレッチェバロック
非凡なスピードが売りで、まだキャリア2戦と底知れぬ。実際、坂路オンリーに切り替えた過程を踏んでの最終追いが51.5秒と自己ベストを上回ったのだ。同型を捌くのに苦労することはなかろう。しかし、前回のラストが13.4秒。楽なまま引き離したとはいえ、仮に追っていても大きく詰めたとはイメージできぬ走りに1F延長というファクターまで加わる。押さえの評価にとどめるのが妥当ではないか。

むしろ面白いのはケンシンコウ
当舞台は3度目。2月には5着と振るわなかった印象だが、追い出されてから反応が一息に映ったのとは裏腹に、レースの上がりを1.1秒上回る36秒1なら上々だし、前走では逆に馬混みの内々で我慢を利かせる味が競馬。そこで大幅に持ち時計を詰めたように地力強化は明らか。その勢いに乗って波乱を呼ぶシーンがあって不思議ない。

他では、まず3勝クラスの日曜・多摩川ステークスからで、ここはルーカスの巻返し。
間隔を開けて臨んだ前開催ではよもやの10着だったが、出遅れ+折り合い難でリズムを掴めぬまま。これは、4月中旬の帰厩ながら、稽古が進まずに当初の目標をスキップ、急仕上げ故に体力がつき切っていなかったから。
それが恰好の叩き台となった模様で、シャープな捌きを披露とスイッチが入ったのだ。今回、初距離になるが、緩急に惑わされることがない分、気分を損ねる心配無用で搭載エンジンはフルパワーに。

当然ながら差す競馬が板についたミュージアムヒルがライバルになりそう。
ただ、ここでの本線はレッドイグニス
前走では自然体での2番手から先頭を窺うまでに。上位の決め手には屈したが、未経験の距離に即対応と適性を見せつけた。加えて、ブリンカーの効果が覿面となれば前進必至。3度の骨折を経た分、7歳とは思えぬほどフレッシュな馬体で、2馬身追走で進んだ直前の併せ馬でも平常心を保ちつつラストの反応◎と非の打ちどころなし。

土曜・相模湖特別は3歳が主力を占める。まずはヴェスターヴァルト
自己条件なら性能で上回ることができる。しかも、西下してトリッキーなコースに泣いての3着だったのであれば経験値アップも見込めるわけ。現に、3頭縦列で進んだ道中から内にもぐり込んで追い出されるとストライドが一気に広がっての3馬身先着。古馬OPを置き去りにして素質のほどを見せつけた。

これと同等のランクに据えるべきがビッククインバイオ
こちらは3月以来となるが、それまでが使い詰めだっただけに、リフレッシュ効果が伝わってくる綺麗なシルエットに。加えて、気が良いのは牝馬特有で、セーブ気味だった坂路以前の併せ2本では、いずれもシッカリとハミを取ってのラストで実にリズミカル。2勝目マークが当条件と、前目で捌けるアドバンテージを存分に生かせるのが何とも心強い。

長丁場になる土曜9R町田特別はウインレーヴドール
キャリアを通しての初勝利が5歳を迎えた今季冬の小倉といった遅咲き。そこからの連勝は圧巻だったし、現級入りした春・福島では絶えずプレッシャーに晒される競馬を凌いでの2着と進化の真っ只中。特に、ここに至る過程では1週前の好時計があるし、直前の5F69.6秒にしても追走態勢から外に進路を取る高いハードルを難なくクリアーしたのだ。つまり、ここにきて結果を出しているのはローカルといった要素だけでは語り切れぬということ。前日の雨予報も有難い。

平場戦でもやはり高橋祥厩舎押しで、土曜8Rのファイアランス
一息入れての初府中だった前走では惜しい3着。そこでも仕上げに抜かりはなかったが、1分を切る1000m通過といった中、後続に突かれても凌ぎ切ろうかといったゴール前。つまり、展開の綾に過ぎぬ惜敗で経験を養分として取り込める段階にもある。
また、持ったままでの2馬身先着が追い切り。全身に力が漲らせて威圧感を発するようなフォームは、1勝クラスの範疇に収まらないのは勿論のこと、トントン拍子で上に進むことを予感させるには十分。気性的に番手からでも問題なく進められる自在味がある点も強調しておきたい。

同じ1勝クラスでは土曜12Rのグローサーベアにも注目。
しまい重点がルーティンの矢野英厩舎だけに、ラストの動きが目立つのは当然だし、デビュー前から上々の時計で動けてはいた。が、成長度スローを思わせる前後のバランスといった分、若干の無理を強いられるとフォームが乱れるシーンも。
ただ、今春に復帰してからはトモが深く入るフォームにバージョンアップ。明らかに合わぬと思えた前回の芝でも1秒に満たない差と崩れていないのだ。更に、1.4秒先行させた相手に迫っての1Fが11.8秒だった追い切りがある。追い出しを待つ余裕があっての初勝利が1.26.1秒。時計短縮が叶う余地ありのレース振りだったわけだし、そこからの上昇ぶりが凄い。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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