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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2020年07月30日(木)更新

好調馬が揃い、楽しみなクイーンステークス

近年、ローカルの牝馬GⅢとは思えぬレベルに達したのがクイーンステークスで、今回もその例に漏れない。

特に、中山→福島と連勝で臨んでくるフェアリーポルカの充実ぶりには目を瞠る。
前走などは、団子状態が続く中、3角過ぎから待たされるシーンがあっても前が開いた刹那、鮮やかに抜け出した。流れに乗ってソツなく立ち回るのみの馬ではなくなったわけ。そこからの2キロ増でも首位争いは約束されている。

もう1頭の◎候補がスカーレットカラー
ヴィクトリアマイルでは見せ場のないまま終わったが、特殊な高速ターフのみに敗因を求めて良いのでは。何故なら、その直前、阪神牝馬ステークスではサウンドキアラを脅かすほどだったし、1800mなら破壊力は更に増す。実際、昨年は上がり33.4秒、問答無用の末脚でクビ差の2着。
また、そこに至る過程が1週前まで栗東→輸送しての追い切りが本馬場と、見事なまでの踏襲ぶり。もうひと押しがあると考えるのは道理ではないか。

能力的にはコントラチェック
先の2頭に遜色がないのは、1.32.2秒での完封劇だったターコイズSが示す通り。加えて、小回りであれば上手く息が入るだろうし、札幌での初勝利が当舞台での独走。もちろん、放牧先からの現地入りでジックリ調整できる特殊性はローカルならで、巻き返せる態勢にあると結論づけるべき。
ただ、逃げ馬が揃っている点でどうか? フルパワーに持って行くにはハナが理想なだけに、それらをどう捌くかに尽きる。

逆に、ビーチサンバには展開に乗じる可能性が出てきた。
昨秋、ローズステークス→秋華賞の一連で自分の型から外れるようなレース。その反省を踏まえたのが今季の3戦で、前走のGⅠに成果が表れつつある。
無論、ローカルに関しては未知数。ただ、桜花賞で上位に関わった元値の高さがあるし、コーナーでセーブを利かせられるのでは、という希望的観測に縋っても無理筋ではない筈。脚が長く続かないといった側面をカバーできる状況を最優先する手も。

昇級戦でもサムシングジャストを俎上に載せなければならぬ。



遡れば、3歳春の阪神でフェアリーポルカ相手に0.1秒差の勝負に持ち込んでいるのだから。確かに、決め手を生かすには長い直線が必須といった部分はある。ただ、決して得手とは言えぬ馬場だった初音ステークスの鮮やかな差し切りには計り知れない成長力が。
武豊が手綱を取っての直前が本馬場での5F59.7秒。プラン通りの仕上げと見做せるだけにノーマークにはできぬ。

あとはリープフラウミルヒ
格上挑戦だった福島牝馬ステークス2着はフロック視することなどできぬ正攻法。それが別定戦だったのだから真っ当に評価すべきで、輸送がない点でも小柄な牝馬にとってはプラス。
現に、頭打ちだった状態を脱したのが昨夏の当地、同じ1800mではなかったか。そこで下した3着がトーセンスーリヤ。今となっては立派なGⅢ獲得馬である。


新潟はリステッド競走の日曜・関越ステークスがメイン。ここまで相手が落ちればザダルで仕方ない。
5月の府中・メイステークスでは惜しくも届かずの3着だったが、レースの上がりを1.1秒も上回る33.2秒と、初になる新潟にピタリ嵌りそうなイメージ。加えて、ダービー卿チャレンジトロフィーを除外されて一旦は放牧へ、といった過程が前半の位置取りに表れていたのではないか。
対して、今回は在厩期間を長くした分、美浦での入念な調整が叶った。1週前の6F追いから直前は終い重点といった厩舎のパターンそのものだが、スパートを遅らせながらの1F12.0秒には弾力性に溢れていた。3歳春までを思えば、出世が遅いぐらい。そのポテンシャルをフルに発揮できるまでのデキに。

勿論、関西2騎を相手本線とするのが妥当ではある。
叩き2走目のトリコロールブルーにとって外回りになるのは大きなプラスだし、1.44.4秒の持ち時計があるフランツも。こちらは、昨夏にはGⅢ・新潟記念での0.5秒差さえある。

ただ、敢えて狙うならウインガナドル
3勝クラス・むらさき賞での際どい逃げ切りは、60秒を超える1000m通過を見越した逃げを打った武豊マジックに依るところが大きい。が、元々が新潟巧者。脚部不安による長期ブランク前、3歳時には新潟記念で4着に食い込んだほど。同型不在に再び乗じるシーンは十分にある。

あとはランフォザローゼス
前走がGⅢでの0.4秒差。前崩れの中、上手く脚を温存できたといった側面はあるが、集中力を途切れさせなかったのが収穫で、函館から帰厩して坂路54.9秒とシッカリ追えていることにも好感が。昨秋、毎日王冠で5着と崩れなかったように、左回りの1800mがターニングポイントになり得る。

取捨微妙なのがロシュフォール
エプソムカップを目標にして除外の憂き目に遭った反面、そこから緩めずに乗り込んできたのであれば息はデキているし、太目感もない。
しかし、4角までの手応えからすると、どれだけ伸びるのかと3頭併せの最内にコースを取った追い切り。そこからトップギアに入るまでが遅かったのは、やはり久々ゆえか。レース勘が戻り切っていない恐れも。


他の特別では、まず土曜10R月岡温泉特別。シンガポールターフクラブ賞で上位に食い込んだ関西勢が人気なのは分かる。特に、サトノウィザードは脚を余し気味だったのである。ただ、動きたい時に動けない点が精神面の未熟さを物語っている上に、パワフルなイメージでどうも新潟では速さ負けするような……。
ここは関東の牝馬でミアマンテ
不利のあったフラワーカップを含め、春の2戦は案外。けれども、成長を見込んだ充電が思い通りにならなかったのは、馬体重を見れば明らか。つまり、オークスを視野に入れてのプランに無理があったということ。特に、前走などは実質1本と言えるほどの中身が薄かったのだから、17着に大敗もやむなし。
逆に、ここに至る過程では、ポリを交えるといった工夫があるし、全て5F70秒を超える時計とはいえ、併せ3本と細心の注意を払いつつ。ユッタリと構えられている時点で、休養前とは精神状態が違うし、極めて回転の速いピッチ走法は素質のなせる業。52キロで切れに切れる筈。

同じ2勝クラスのダート戦、土曜9R麒麟山特別からはシャドウセッションを。
冬場の現級2着を思えば、ここ2走は足踏みとしか総括できぬほど。ただ、ワンターンで流れに乗りにくい府中ではひと押しが利かなくてもある程度は納得が行くし、立川特別では3角手前から被せられるシーンが続いた為、直線に入って耳を絞るような面も見せた。要するに、そのタイミングでの去勢が功を奏するのではないか。
実際、帰厩後1本目からして5F68秒を楽々切れたように、リフレッシュ効果で躍動感があった上に、最終追いでは先行態勢でも鞍上が容易く手の内に入れられた故、16秒を超えるユッタリとした入りでもコンタクトを密にしながら進めたのだ。結果、ラストは11.9秒と今までになかった鋭さを披露と凄い変わり身。


1勝クラスからは日曜8Rのジョイウイン
気の良いタイプで間隔が開いてのマイナスはあり得ないし、牧厩舎らしくシッカリと併せ馬をこなして冬場の復帰戦より動きがスムーズ。実際、直前は最外での先行態勢と感触を確かめる程度で十分なまでに。そこでは幅が出た分、大きな身のこなしになっていつでも突き放せそうな勢いのままゴールに飛び込んだ。
初勝利を挙げた鞍では2番手に収まるレース運びから。とはいえ、その前半3Fは、未勝利クラスとしては辛い筈であった。それを難なく乗り切った段階での充電と理想的なステップ。昇級してペースの違いに戸惑うこともなかろう。

最後に土曜1R。ここはレオテソーロに勝機が巡ってきた。
デビュー戦、ゴール寸前まで粘っていたように力があるのは間違いない。加えて、落差の大きい状況になった福島では馬混みでも動ずることなしと、1200mに対する適性をも示した。
ただ、速い脚に欠ける分、ラストはじれったいほどで、勝ち切るには格好のダート戦だということ。また、1週前のDWは1F11秒台とパワフルであり、鋭くもあるという文句なしのフィニッシュだったし、直前の坂路では自己ベストを遥かに上回る時計と鮮やかな上昇カーブを描いている。

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柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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