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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2020年12月03日(木)更新

絶対王者・クリソベリルに迫るのは?

国内に限れば無敗のクリソベリルに被る中京・チャンピオンズカップ。それに異論を挟むのは難しいのではないか。

斤量利があった上に、クビ差に過ぎなかった昨年でも内を狙った分、直線で窮屈になったからだ。加えて、今回のGⅠより上位の質が高い帝王賞→JBCいずれも後続に水を開けたとなれば絶対値が違うわけ。
唯一、重箱の隅をつつくのであれば、直前の坂路が54.0秒とこれまでに比べて遅い点。とはいえ、栗東入りしての1本目からして併せ馬での51秒台が出ているのだから、マイナス材料と捉えることもできぬ。敢えて逆らう必要はない。

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南部杯、驚異的なレコードを叩き出したアルクトスの充実ぶりにも触れなければならぬ。
モズアスコットの早仕掛けで目標を定め易かったという展開の妙があったとしても、長い直線での競り合いを制したことには価値がある。
また、鎧を纏ったような体つきで砂馬としての完成形に。要するに、とどまるところを知らぬし、追い切りを坂路に切り替えてからの安定味にも注目できる。今回もラスト2週にわたっての坂路は好時計マークと寸分の狂いなし。距離、コーナー4回と課題はあるが、目下のデキを思えばノーマークにはできぬ。

3歳カフェファラオにとっては試金石。
ユニコーンステークスでのワンサイドはあるが、大井・ジャパンダートダービーでの凡走があったし、上の世代に混じるのが初だったシリウスステークスでも詰め寄られる始末と、マイル以外ではパンチ不足の側面が。
ただ、武蔵野ステークスをも念頭に置いた分、在厩での鍛錬が叶ったといった点でアドバンテージはある。
現に、DWに移してからの併せ馬では相手を圧すること再三。特に、行き出し6Fの1週前などは、同格の古馬を追走しながら身体能力の違いを見せつけての1馬身先着で、張りつめた体といい、ダイナミックなアクションといい、スケールの大きさをアピールするには十分であった。
直前、入りを緩くしてのしまい重点(先行態勢で5Fから69.1秒~53.5秒~39.4秒~13.0秒)は、こなすべきことを全て成し遂げた故。クリソベリルを脅かす存在として良い。

同じく日曜・中京への西下組からピックアップしたいのは10R中京日経賞のニシノストーム
エンジン点火がやや遅かった福島でさえ、力強い伸びを見せての2着と現級突破まであと一歩に迫れるまでのレベルに。加えて、単走ながらセーブを利かせた道中から軽やかな捌きに終始しての5F67.5秒が追い切りと波に乗ってきたのだ。
そもそも、2歳夏デビューながら初勝利が年明けの小倉と良化度がスローだった。現に、肩の出が少々硬かったのが前走までで、よりスムーズな運びになったのが目下だし、スクんでいた故、ポリで体裁を整える程度だった春2戦からとであれば馬自体の強度が遥かに高まっている。坂のある中京でも不安なし。

場替りの中山、メインは土曜のステイヤーズステークス。

特殊な距離でコーナーを多く切る設定となると、恰好のサンプルになるのが札幌での長丁場。ということで、初重賞にリーチのかかっているポンデザールを主役に。
在厩での調整期間が長かったのは、アルゼンチン共和国杯も視野に入れていたが為。思ったほど調整が進まずに目標を切り替えたといった点が懸念になろう。
しかし、1週前には行き出し6Fでシッカリと負荷をかけた一杯追いで漸く覚醒。1馬身遅れだったとはいえ、相手がGⅠを目指すカフェファラオであったのだから、質の高さに疑いを挟む余地はないし、5F70.3秒と定番の直前軽目でも全身に力を漲らせていた。距離不足の札幌記念で4着に食い込めたことを素直に評価する。

逆に、同じようにアルゼンチン共和国杯をスキップせざるを得なかったボスジラは乗り込み不足ではないか。
一応、坂路51.4秒と態勢を整えるには十分な時計だったが、本格始動が2週前の金曜にズレ込んだ。少なくとも、札幌日経OPでポンデザールにつけられた差を覆すには至らなそう。

それならば関西馬ダンビュライトが面白い。
復帰戦、前目には厳しい展開の中、0.5秒差に踏みとどまったのはさすがで、骨折→去勢を経てのメタモルフォーゼが目に見えてきた。
GⅡ2勝の実績に加え、菊花賞5着さえあるぐらいだし、今春だけ問うても今回のメンバーとは格段に違う。大幅な相手弱化でのマイペースで残り目ありとなるのが道理。

同じOPでも日曜・ラピスラズリステークスはスプリント戦と条件はガラリと変わる。
ここは成長力を示しているケープコッドで仕方ない。
確かに、10月・京都からとなるとハンデ→別定での2キロ増し。けれども、春からでも段違いに厚みの増した馬体がその不安を帳消しにしてくれる。
何故なら、DWでパートナーを全く寄せつけなかった併せ馬があるかと思えば、流す程度だった直前のポリでは大きく体を使って弾むようなアクションに終始とひと皮剥けたまであるからだ。
以前からの馬体増が数字通り実になっている印象なだけに、葵ステークズで先着を許したレジェーロに対してでさえ恐るるに足らず。

ここからも3歳勢に注目して日曜・市川ステークスではハーモニーマゼランを取り上げる。
連続の府中開催スキップは織り込み済みで、全3勝を挙げている中山に照準を定めるのは当然か。何より、そのリフレッシュが功を奏したと思わせる麗しい体になっての帰厩だったし、併せの繰り返しに鍛錬のほどが窺える。
その結果が、縦列最後尾からの外、測ったような抜け出しでの5F65.2秒2と非の打ちどころなし。3月、1.33.8秒をマークできた元値に太鼓判を捺せるデキとなれば昇級の壁など露ほど感じぬであろう。

ダート戦になる日曜・舞浜特別ではコンドゥクシオンが面白い。
チークPの甲斐なく4角手前で圏外に去った9月でのリセットが理に適っていると思える過程を踏んでいるからだ。というのは、馬の気に任せた結果の好時計でない点で秋初戦とは異なるから。
即ち、道中で我慢を利かせた結果の3頭併せというのがラスト2週で十分に反応が見られた。さらに、数字以上に華奢に見えたのが前回時のパドックで、暑さにやられた感じが伝わってもいた。逆に、フックラとして前進気勢が蘇ったと思わせるフォームにかき込みの強さ。ダート替りでこそ。

最後に平場の2歳戦から日曜1Rのハコダテブショウを。
先月のデビュー戦は太目が残った上に、適性に疑問があった芝。つまり、追われてからモタれたのは速い脚で劣る分もあったし、微妙に長かった1400mがネックに。一気に走り切る今回でこそ持ち前のパワーを前面に出せるということ。
まだある。課題を次々とクリアーしての過程だった前走でも稽古では絞り切れなかったのに対し、レース間が詰まっていても併せ馬で先着、脚色に余裕があっての5F67.2秒だったのは素軽さが出てきた故。一叩きの効果が絶大な上に、如何にもダートが向く体つき。条件替り初戦が狙い目になる。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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