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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2021年01月07日(木)更新

シンザン記念、今年も名牝登場?ククナに勝機あり!



上位拮抗のシンザン記念は、例年以上に目移りする状態。また、3歳のマイル路線を占う意味でも重要なのは、暮れの朝日杯から直行する2頭が一気に水準を引き上げているといった要素があるからだ。

中でも、前走のバスラットレオンには絶大なる価値がある。
何せ、気合いをつけてのゲート、果敢に位置を取りに行っての4着がレコード決着において、だから。しかも、やはり厳しい流れに晒された札幌2歳ステークスでも2歳女王・ソダシの3着。さらに、暮れと異なり今回は脚色に余裕があっての坂路52.5秒と1.0秒以上短縮。是非とも賞金を加算しておきたい。

ただ、牝馬ながら果敢に挑戦するククナにはそれ以上の魅力がある。
バスラットレオン同様、ソダシを物差しにできる上に、アルテミスステークスに大いなる将来性を感じたからだ。
確かに、上手く脚を矯められたことがラスト1Fの切れに繋がった。けれども、坂下までは周りを固められる形が続いて半ば脚を余したながらの上がり最速。前目に有利な展開含みとなれば、そこでの勝ち馬に優るとも劣らぬ評価を下して良いわけ。
在厩での調整期間を短くして臨むのは秋同様だが、暮れから51秒台を連発して直前に至っては1F11.6秒。上積み◎。

西下する馬でもう1頭、ブルーシンフォニーを侮ってはいけない。
相変わらずのウッド中心で併せ馬3本。追い切りが5F69.7秒と控え目だったのは、外厩を含めそれまでの鍛錬が十分だったが為。直線に向いての伸びやかなフォームは、良質な筋肉に恵まれているからこそで、息が上手く入らずにリズムに乗れなかった京王杯2歳ステークスは度外視して良い。1F延長での再加速が見えてきた。

ブルーシンフォニーとの直接対決で五分のロードマックスも覇権争いに加わる。
デビューからの2戦では馬の気に任せた稚拙なレース運びだった反面、11月には抑える競馬を即マスターできたように、引き出しの多さがポテンシャルの証に。しかも、激流に呑まれておかしくなかった暮れのGⅠでは最後に物凄い伸び。華奢な全体像とは異なる勝負強さを示したし、直線でフラつくなど初の右回りがネックになった側面も。中京替りを好機と捉えられるということ。

地味な印象のあるダディーズビビッドだが、暮れに安定した捌きで2勝目をマークして臨む。
それを含め、高いレベルで安定しているのが当コース。特に、9月には上がり34.1秒で勝ち馬に迫った。その相手は、直後のGⅡで1.32.4秒をマークしての惜敗だったことが、昇級即通用の強力な根拠になっている。
自身、強力な武器を持ち合わせているわけではないが、相手なりに走る点、自在性には一目置ける。

中山メインは月曜・フェアリーステークス。
今の時期の3歳牝馬ということで手薄なメンバーになりがちな傾向が続くレース。実際、ダート中心に歩んできたラストリージョ以外はオール1勝馬で構成されることに。
となれば、未だに底を見せていないテンハッピーローズを主役に据えるのが妥当なところ。
小倉でのデビュー勝ち以降は2、3着で前走などはGⅢで息の長い末脚を見せつけての2着争い。1勝クラスの範疇を超えている。
が、そのアルテミスステークスを重視すればするほど、シャドウファックスをクローズアップしたくなる。
ラストからの2F目に10秒台さえ刻む決め手比べの中、一旦は先頭に迫るまでの果敢なレース振りが素質を裏づけている。坂を上がり切ってから勢いが失せたのは、その高速ラップに対する経験値のなさに過ぎぬわけ。加えて、今回のリフレッシュで2歳時よりシャープなラインになっての帰厩で、それが最終追いで先行馬に瞬く間に取りつく鋭さに繋がっている。
元々、ダートもこなせそうな重心の低さと安定した捌き。つまり、暮れからの通算で6週目となるタフな馬場となれば大本命との逆転が視野に入ってくる。

勿論、アルテミスステークス5着のクールキャットも上位に迫ろう。
そこでは内に押し込められるシーンが坂下まで続いて不完全燃焼。初戦が内からの鮮やかな抜け出しだったとはいえ、そこでもハンドル操作に少々の困難が伴っていたから、左回りでの不器用さが見え隠れ。むしろ、中山替りはプラスに働くのではないか。
また、ウッドでの併せ馬が4本に上る過程がある。直前こそ3角手前からコース入りするしまい重点だったが、先頭との差が3F地点でも2.0秒といった中、直線に向くと津村のアクションに即呼応しての4F52.0秒。前2頭を鮮やかに抜き去ってのフィニッシュは、イメージトレーニングとしては格好で、昨6月に見せた切れに磨きがかかった模様。

古馬戦ではまず土曜11Rのニューイヤーステークスを。
ここでのポイントはサクセッションの取捨。
皐月賞トライアルでの3着が底力の証になっているし、当舞台ということなら3歳初頭に1.33.4秒をマークしているからだ。
ただ、豊富な攻め量があったとしても、最終追いがBコース。しかも、道中のラップが緩かったにも関わらず、追走態勢からの1馬身遅れ。つまり、目論見通りに弾けなかったことに他ならぬわけで、骨折明けのブランクがネックになりそう。

ここは、同じ明け4歳でも牝馬が中心。特に、叩き2走目のインターミッションに勝機がある。
秋以来となったターコイズステークスでは痛恨の出負け。したがって、コースロスを抑える内々から一気に外に切り替えることで負荷もかかった。ソツなく運ぶのが必須といった展開の中、0.4秒差まで詰め寄ったのが証し立てになっている。
今回はパターンを変えての坂路2本で臨むが、角馬場での様子を見る限り、前回よりメリハリの利いた馬体になっている分、上昇気流に乗ったと見做して良いし、昨春のアネモネステークス勝ちが時計を要する馬場での肉弾戦。全てにおいて状況は好転している。

狙って面白いのがミラアイトーンでこちらも◎候補に。
馬場入りを嫌がる素振りがあるのは以前からといった気分屋だが、スプリント路線での大成を見込んでいた時期からのレベルアップが前走に見て取れる。
しかも、前目で上手く捌いての持久力勝負が板についてきた段階。関屋記念の5着にも価値求めて良い上に、コースに入ればスピード感抜群に行き出しかららラストまで実にパワフルなのがこの中間。今なら中山も難なくこなせそう。

同じマイルの3勝クラス、日曜・若潮ステークスはハーモニーマゼラン
復帰した暮れでも態勢を整えていたが、詰めが甘くなっての3着。が、2F目から11秒台を刻む中、気に逸る素振りだった道中が応えた形で悲観すべき内容ではない。当然ながらガス抜きはなった筈だし、そこからのギアアップぶりが稽古で伝わってくるのだ。
直前、楽々と5F67.7秒をマークできたのは、年明け1本目に3頭併せで負荷をかけられた故。何と、縦列の最後尾から進みながら最外に進路を取って痺れるような手応えのまま。そこではOP馬相手に0.2秒速い時計の上に、ラストの動きでも遥かに凌ぐ百点満点。ハンデ戦で前走からの1キロ減となれば難なく抜け出せる。

平場の2歳戦ではまず月曜5Rのウインシャーロット
+26キロと大幅な馬体増だったのが暮れ。が、成長分を見込めば少々重い程度だった。即ち、本数をこなしてはいても一向に走り方を覚えてこなかったデビュー時は基礎体力に問題があったわけ。
対して、追走の余裕が生まれたマイルということもあって、力で捻じ伏せんとしたレース振りには抜群の距離適性が表れていたし、今回は5F70秒を超える時計とはいえ、ウッドの外目と数字以上にハードな攻めを消化できた。ラストに至っては、内で気合いをつける古馬2勝クラスを窺う余裕さえ見せての同時入線だったから驚く。通過点として良いだけの水準に達した。

新馬戦では中京に臨むギャラントマナー(土曜6R)。
11月下旬からの始動で丁寧な仕上げを施したのが何より。確かに、全体に緩さがある分、一気にピッチを上げるというわけにはいかぬが、500キロを遥かに超える雄大な馬格でありながらバランスにも秀でているし、発達した胸前が推進力を生んでいる。
また、測ったように前に並びかけた追い切りの3頭併せに片鱗が窺える上に、3日には古馬OPを追走する形。それもコーナーでは先行馬の直後で辛抱を利かせる態勢を強いられながらも平常心キープから手応え通りに反応できた。フルゲートであればこそ、そのセンスが他との違いを際立たせる。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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