マイル路線における立ち位置が曖昧な面々になり易い東京新聞杯だけに、前評判が覆されることしばしばで、今年もその傾向に沿うのではないか。
一応、マイルチャンピオンシップでは伸び切れなかったヴァンドギャルドにとってのGⅢは組み易しと。
ゲートの課題解消を境に、昨秋には富士ステークスを制したからだ。けれども、そこでは離し逃げのある特殊な展開に加え、早目に追い出す他とは別に、スパートのタイミングが余りにも嵌ったという要素も。
ヴェロックスが路線転換を図ってきた。
ここ2走のだらしなさを払拭せんとすれば理に適った選択。2000mを中心とした重賞での未勝利はもうひと脚が使えぬからだ。追い切りでは乗り役が跨っての1F11.8秒が一杯追いだったことでも前走とは違う筈。
ただし、どのレベルに入っても善戦止まりといったタイプはどこにでもいるし、典型的な早稲との見立てがあって良い。
同じ日経新春杯で期待外れだったもう1頭、ダイワキャグニーには巻き返しがあって良い。
気合いをつけてのスタートだったが為、気が逸っての2番手。ベストより気持ち長い距離では致命傷となった。が、張りつめた馬体は相変わらずだし、5Fからして抜群のスピード感がありながらの67.7秒と文句なしの追い切り。一昨年3月以来のマイルとなるが、当時は去勢前の中山で流れに乗れぬまま。大箱の府中なら別馬なのは、
エプソムカップ制覇や毎日王冠2着が示す通り。それからの1F短縮に問題があるとは思えぬ。
前年度2着のシャドウディーヴァも当然ながら首位争いに絡むだろう。
それがマイル初で1.33.1秒だったし、昨秋にはGⅠに向けての重要なステップになる府中牝馬ステークスでも2着と結果を出した。つまり、内にモタれる右回りでの不振には全て目を瞑って良いわけ。
最終追いは坂路での53.3秒と3歳秋以来のパターンだが、それまでのDWではキビキビした捌きで硬さは皆無。ここに向けての調整に狂いなし。
美浦勢からもう1頭、ノーマークになっているニシノデイジーを取り上げる。
≫ 続きはログイン内で
柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。