GⅠに向けてのトライアルが着々と進む中、2週目を迎える中山メイン・弥生賞ディープインパクト記念には2歳チャンピオンのダノンザキッドが登場。
そのポジションに揺るぎがないのは、瞬発力に長けている面を見せつけた東スポ杯2歳ステークス、時計を要する馬場にも動じなかったホープフルステークスと状況を問わない安定味があるから。
先を見据える器だけに、余裕残しで通過することを目論んでいよう。それでも、ラスト2週にわたって古馬3勝クラスの追随を許さぬ併せ馬がいずれも長目の行き出し。つまり、前回時と遜色ない過程を踏んだと見做せるわけ。そのスケール、溢れ出すセンスと現時点では非の打ちどころなし。土つかずの状況が続くのではないか。
王者に鈴をつけに行く新星として期待を集めているのが、2連勝で臨むシュネルマイスター。
特に、暮れのマイルでは直線に向いても落ち着いて前を捌こうかといった余裕。その手応え通りに弾けての0.5秒差は圧巻であった。
加えて、今回のリフレッシュでトモに力が籠るフォームに様変わりし迫力が増している。それは、阪神ジュベナイルフィリーズで僅差に迫ったユーバーレーベンを圧倒した先月17日に表れているし、その後もピッチを落とさずに直前もどこまで伸びるかと思わせる手応えでラスト12.6秒。
しかし、頭が高くなるフォームに一抹の不安も。要するに、マイルでの決め手勝負が理想で、持久力を問われるシーンに馴染むとは思えないのだ。2000mが落とし穴になりそうで、今回は押さえ程度。
それならば、ホープフルステークス重視でタイトルホルダー。
ダノンザキッドが目の上のタンコブといった感じだが、緩急いずれにも対応できる点に奥行きが伝わってくる。
また、5Fからハイラップを刻んだ1週前、直線では古馬OPを内から鮮やかに抜き去ったように、2歳時には見られなかったスムーズなギアチェンジからのパワフルな捌きが印象的。道中で上手く収まりをつけての人馬一体を身につけた故で、新味を出しつつある。大本命逆転はともかく、暮れの0.5秒差は確実に詰めてくるのでは。
底知れぬのがワンデイモア、特大ホームランを狙うならこれ。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。