層が薄くなりがちな長丁場といった例は枚挙に暇なしで、今週の天皇賞・春もそれに漏れず。
俯瞰すればGⅡより少々レベルが高い程度にしか見えないとなると、唯一のタイトルが菊花賞というワールドプレミアに順番が巡ってきそう。
現に、今回より明らかに質の高かった暮れの有馬記念で5着。1年近くのブランクを経て2戦目だったし、前走にしてもここへの叩き台といった過程ながら0.1秒差と細工は流々。最終追いを含め、4本の長目追い消化といった点でも上積みは相当だということ。
しかし、拠り所となる菊花賞勝ちが低調な相手に対してのもの。今回、その状況は変わらぬにしても、どうも弾け切れない阪神での開催というのが巡り合わせの悪さ。下馬評に反する評価に。
カレンブーケドールは好調キープ。
坂路での仕上げはルーティーンで、半馬身先着した追い切りの坂路が52秒台といった点でも高いレベルでの安定と捉えて良い。
問題は、純然たるステイヤーでないこと。勿論、ジャパンカップでのハイパフォーマンスが2年にわたってだから掛け値なしだし、それは決して崩れぬこれまでにも裏打ちされている。とはいえ、シルバーコレクターに甘んじているのは確かで、ましてやいきなりの3200mとなれば◎は避けたくなる。
ここは、明け4歳を主力に。特に、日経賞組では素直にウインマリリンとして良いのではないか。
当時の追い切りレポでも触れたことだが、気温の上昇に比例して皮膚が一段と透けるようになって気品漂う。これは、3歳時も同じ過程を踏んだことでも分かる。
加えて、1週前の併せ馬では脚色で劣ったものの、追走しての同時入線で、前に迫らんとしたシーンで重心が沈み込む見事なフォームを披露。したがって、直前の単走は感触を確かめる程度。とはいえ、力を漲らせての5F69.5秒は数字以上の速さ。ピークを迎えた。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。