安田記念の主力は美浦勢ということで良いのではないか。
何せ、こちらの大将格がマイル以下では瑕疵のないグランアレグリアだから。
昨年ほどではないメンバー構成に加え、流した程度のヴィクトリアマイルが1.31.0秒と、目を剝くほどの圧倒ぶり。確かに、中2週と詰まる分、今回はオール坂路とこれまでにないパターンではある。しかし、前走を強烈な本馬場調教と見做せば、その後には微調整しか必要ないわけで、パフォーマンスが急激に落ちることなど考えられぬ。
間隔が詰まるということならシュネルマイスターも同様。
ただ、こちらも引き締まった体は相変わらずだし、流れるように体を運べている点でも反動はない。また、5F68.2秒はNHKマイルカップの直前に比べればセーブした結果でも、相手は古馬OPで重賞勝ちもあるほど。それに対しての2馬身追走を感じさせないぐらいに余裕があった。
そもそも、一気に持ち時計を短縮しなければならかった前走、坂を上がり切ってとても届かぬと思わせてからのラスト50mの脚には驚嘆するしかなかった。同じような状況が2度目となればギアチェンジもよりスムーズになろうし、54キロは大きなアドバンテージ。キャリア不足を補って余りある。
逆に、サリオスにはどうも感心できない。
直前の5F71.1秒に関してだけは堀厩舎だけに納得が行くが、妙にスッキリし過ぎたラインで、強烈なアピールポイントだったはずの威圧感が雲散霧消している気が……。
実際、本来なら追い切りに向けて整えなければならぬ日曜に時計を出せなかったことには首を傾げざるを得ない。本来なら、大阪杯からのここはプラン通りであっただろうが、その4月が道悪での目一杯。そこからの立て直しに手間取ったことが透けて見えるのであれば軽視が妥当。
同じような評価で良いのがダノンキングリー。
ラッキーライラックの追撃を封じたのが昨春・中山記念で、持ち前のセンスはマイルでこそ開花と見做していた馬。そして、当時は3歳時と異なり、鍛錬に耐えられるまでの体質強化があった。
対して、早目の入厩ながら良化が遅々として進まぬ挙句、ラスト2週がBコース。小さくまとまっているだけといった全体像で以前のデキには遠く及ばぬ。
それならば、ダイワキャグニー。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。