今週の府中メインは、GⅢのエプソムカップ。
一見、寂しく映るが、過去にはここを足がかりに海外へと羽ばたいたエイシンヒカリ、引退レースの有馬記念で上位に迫ることになる牝馬ルージュバックらが勝ち馬として名を連ねているように、次代のホープを探し当てる楽しみがある。
主力を占めるであろう4歳勢の中で、アルジャンナに対しての期待が高まっている。
膝手術によるブランクから5、2着と尻上がり。特に、安田記念の前哨戦になるマイラーズカップには相応の価値がある。
2歳時まで遡れば、当舞台でコントレイルに突き放されたとはいえ、1.45.3秒に裏打ちされた適性ぶりも強調点に。また、追い切りでは坂路51.3秒でここを獲りに来たといった姿勢が如実に表れてもいる。
関西勢からはもう1頭、アドマイヤビルゴも争覇圏。
大阪杯の9着は道悪で論外だし、脚を温存できずに伸びを欠いた日経新春杯を見る限り、距離に限界があるタイプと受け取れる。したがって、新馬以来となる1800mで新味が出そうだし、3歳春の若葉ステークスが示す通り、高速ターフも恰好に。
しかし、どうも成長し切れぬ馬体といった点で早稲との見立てがあって良い。
関東の4歳は、サトノフラッグの評価が微妙。
弥生賞ディープインパクト記念での力強い伸びや、菊花賞での3着と世代のトップに近い立ち位置。が、年明けからの不振がある上に、そこに至る一連では攻め強化による成長も見込めていたほどで、それを踏まえれば実戦が案外な結果続き。調教で目立つのは今回も同様で、追い切りなどは5Fから内をビッシリ併せての5F67.3秒が馬場の外目と価値◎。とはいえ、それは冬場でも同様だったのだから、その動きの良さに飛びつくのは聊か心許ない。
逆に、ガロアクリークは、発走直前に取り消した影響を微塵も感じさせぬほど冴えている。
特に、脚元と相談しつつの仕上げで直前が意外なまでに控え目だったことを思えば、以降は判で捺したように併せ馬を消化して1週ごとにギアを上げている段階。自らハミを取って大きく先行した馬を交わし切るラスト2週には、3歳上半期までの勢いを感じる。
そもそも、昨年のダービーを切り取れば、メンバー中、最先着だったわけで、GⅡのスプリングステークス制覇が今回と同じ1800m。それらを掛け合わせて優位に立つのは目に見えている。
その上の世代、5歳勢でまず触れなければならないのがザダル。
充実一途だった昨シーズン、極めつけは毎日王冠での5着というのだから、ここでも実質は格上。問題は、球節不安からの復帰に手間取ったこと。なるほど、大竹厩舎のパターンに則った1週前の6F追い→直前の終い重点で、時計だけなら及第点。
しかし、見た目に立派な分、少々重苦しくなったラストが気になる。ベストの距離、驚異的な切れと状況に適っているのは承知しているが、どちらかと言えば叩き台といった結論に傾く。
ヒュミドールではどうか?
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。