ハンデ戦の名物レースといった立ち位置の七夕賞。
天気が不安定な梅雨といった点や福島適性に重きを置くべき鞍で、それらにピタリ当て嵌まるのがクレッシェンドラヴ。
19年秋から昨夏と当舞台でのGⅢ連勝がキャリアのハイライトと呼べるほどだし、ロングスパートでの進出が可能になったことでも進化が認められるわけだ。確かに、昨秋からは振るわなかった。しかし、高みを目指した昨季のラスト2戦はGⅠだった上に、そこからの立て直しに手間取った大阪杯には稽古不足といった側面も。
対して、身の丈を弁えての臨戦になる今回は、外厩での進み具合が伝わってくる体つきだったし、1週前に至っては行き出し6Fでの好時計マーク。結果、外ラチ沿いといった負荷のかかるメニューの最終追いでもラストに至っては11.6秒と鬼気迫る伸びを披露できた。58キロのトップハンデでも連覇が見えてきた。
となると、前年度3着だったヴァンケドミンゴも俎上に載せなければならぬ。
年明けからは噛み合わぬ競馬続きで最高着順が2月・小倉の9着と不振を託っている。けれども、[4.1.1.0]の福島は我が庭といった風情で、ここに照準を合わせるのが自然の道理。特に、正攻法で運んで僅かに届かなかった昨11月・福島記念は本物。また、去年の七夕賞からであれば、クレッシェンドラヴとの斤量差が2キロ差に詰まる点で分の悪さを感じるだろうが、当時はOP入り初戦。そこからの経験値を含めれば、首位争いに加われるとして良い。
以上のラインは強力に思えるが、別路線からに魅力溢れる馬が。まずはワーケア。
富士ステークス以来の実戦となる今回。スランプに陥っていただけに、そこで見切りをつけたのが功を奏するのは想像に難くなかった。実際、伸びやかなフォームになって鍛錬に励めたが何より。そして、質の高いパートナーに事欠かないといった要素も仕上げの一助になったということ。
3頭併せでの2馬身遅れだった追い切りにしても、縦列の最後尾からで2番手とでさえも4馬身差があったのが3F地点。単走で終わらせるのでは、といった態勢であった。にも関わらず、猛然と迫った結果の5F65.0秒だったのが凄い。直前に至ってもこれほどハードに追えたのは2歳秋以来。つまり、トップフォームに戻ったと見做すべき。
これと並ぶ◎候補がトーラスジェミニ。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。