傑出馬不在のクイーンステークスは、接戦になるのが常。今年はそのパターンに当て嵌まりそう。
とはいえ、ヴィクトリアマイルを尊重すべきなのは、ローカルのGⅢなら当然で、そこで最先着だったマジックキャッスルを軽く扱うわけにはいかぬ。
しかも、そのヴィクトリアマイル、稽古では動いていた反面、阪神牝馬ステークスで減った体が戻り切っていなかったのは事実。にも関わらず、際どい2着争いを演じたのだから本物。また、京都・内回りだった秋華賞2着が示す通り、直線の短いコースでこそ瞬発力がマックスに。少なくとも、愛知杯→前走が語るように、シゲルピンクダイヤとの勝負づけは済んでいるということで片付けて良いわけ。
むしろ、前回がGⅠということで取り上げなくてはならないのはテルツェット。
出脚が鈍くて追走にも余裕がなかったヴィクトリアマイルは、経験不足がモロに出ていた。それとともに、タイトになるマイルではアクセントを利かせにくいといった面を見せたのがヒントに。すなわち、追走に余裕が生まれる今回の1F延長が追い風になりそう。
加えて、53キロだったとはいえ、牡馬を捻じ伏せたダービー卿チャレンジトロフィーがロングスパートと言えるレースぶりだった点にもその萌芽が見える。未だ発展中で休養のたびにレベルアップを果たしてきたこれまでの経緯から、今回の牝馬限定戦であれば力量上位ということになろう。
冒頭で挙げたマジックキャッスルと同じ国枝厩舎の期待を背負っているのがドナアトラエンテ。
春の新潟、福島牝馬ステークスでは僅かに届かぬ口惜しい2着だったが、荒れた芝を克服したことには絶大なる価値がある。ひ弱さは雲散霧消、輸送がネックになることなど、今や昔。美浦からの移動をモノともせずに、現地入りしての5F追い消化と、飛躍を期するに足る充実ぶりが何とも心強い。
けれども、見立てとしては未だにワンターンでこそというのがある。コーナー4回でのインパクトが今ひとつだから。その点は差し引かなければならぬ。
それならば、フェアリーポルカ。
既にGⅢを2勝している分、別定56キロとなって分が悪いのは確か。しかし、その斤量だった昨年のターコイズステークスは、中途半端な位置取りでも一旦は先頭を窺った結果の0.2秒差ではないか。
その時より捌き易い頭数でピンポイントの1800m。加えて、今年は今月の交流重賞が恰好の叩き台になっての臨戦。状況は大幅に好転しているのだ。勿論、別路線に転じて崩れなかったブリンカー効果といったファクターも見落としてはならぬ。
あと、狙って面白いのがウインマイティー。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。