夏競馬のフィナーレを飾る新潟記念は、雌雄、新旧入り混じる混戦で、例年以上に難解ゆえ、逆に食指を動かされる鞍。同時に、サマー2000シリーズの行方が関わってくる。
となれば、ボーナスに手が届きかけているトーセンスーリヤが注目の的に。
仕上げ切れぬ事情があった中山記念から使うごとに上向き。特に、正攻法で運んで着差以上に後続とのレベル差を見せつけた函館記念は本物。
加えて、そこからの立て直しがスムーズどころか、更なる進化をアピールしている稽古の動きがあるのだ。最終追いなどは、5Fの入りが15.2秒と、人馬一体といった形容がピタリの道中からラストで気合いをつけられるとゴムマリの如く、弾力性溢れるフォームでゴールに飛び込んだ。まさにピークを思わせるデキで、重賞初制覇の舞台に戻ってGⅢ33勝目に待ったなし。
一度目のハロー明けに追い切ったザダルの上昇ぶりには瞠目させられた。
脚元の不安によるブランク明けだったのがエプソムカップ。正直、一枚も要らぬと思っていた。何せ、格下相手にアオられ通しで、現に+12キロの重目残り。にも関わらずの完勝には脱帽するしかない。
今回は、当時より格段に良化。何故なら、馬体からして洗練された上に、直前でさえ6F追いで見た目の麗しさが反映された2馬身先着と文句なし。ベストは1800mだろうが、決め手を存分に生かせる平坦+ワンターンといった設定なのだ。相殺されて余りある。
以上の2頭、能力や状態面に瑕疵がないのは確かで常識的にはこれらの一騎打ちと考えるのが妥当。しかし、ハンデ頭に分がないのも歴史が物語っている。つまり、斤量利を生かせる伏兵の出番だということ。
初OPだったエプソムカップでは伸びを欠いたヤシャマル。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。