地位を築き上げてきた4歳勢と、それに挑む若い世代のせめぎ合いをどう捉えるか。
これが最大のポイントになる今年のエリザベス女王杯。
その世代間闘争の中、アカイトリノムスメが支持を集めていることには納得が行く。
直前の札幌記念でラヴズオンリーユーを封じたソダシを目標に進めた結果、有無を言わせじとばかりに早目先頭と着差以上だった秋華賞がある上に、そこからの1キロ減は、如何にも有利。
問題は、今回が2度目で間隔を詰めての遠征になる点。それに見合った調整がここに至る過程で、追い切りの5F67.4秒にしても、上がりまでは緩いラップの終い重点であった。
もちろん、パワーアップがダイレクトに伝わってきた秋初戦には敬意を表すべきだが、それを維持させるのに汲々といった受け取り方もできる。
やはり、ここは着実にキャリア積み上げたグループからのチョイスになろう。そして、ターゲットになるのはオールカマー組。
そこを制したウインマリリンは完璧なレース運び。
筋肉量が大幅に増えた効果で、強い稽古が全て実になっていたわけ。逆に、放牧帰りからピッチが上がらない今回は、1週前でも控え目なラストで1馬身半の遅れと伝わってくるモノがなかったし、気合いをつけての単走だった直前で漸く間に合わせたといった憾みが。少々割り引くのが妥当か。
対して、2着と僅かに及ばなかったウインキートスには天井知らずの勢いがある。
馬混みで我慢を利かせられた反面、4角でスパートを待たされるシーンがあった。無論、2200mでもまだ距離不足といった面は否定しようもないが、脚質に幅が出たのに加え、ラスト2週が6F追いと鍛えに鍛えている。
最終追いに至っては、5Fから13秒台を刻むハードなメニューを難なく消化。これは、研ぎ澄まされた馬体に様変わりした故で、スタミナをフルに使い切るパターンであれば阪神内回りにも対応できる筈。
その一方で、レイパパレを見限ってはいけない。
今季のピークが大阪杯と決めつけられても文句は言えないほどのトーンダウンがあるのは確か。とはいえ、立て直しに手間取ったのが宝塚記念だったし、漸く落ち着いた3角過ぎから捲りに来たグローリーヴェイズに被せられる苦しい展開だったオールカマーと、敗戦はともにエクスキューズは成り立つ。
そこを叩き台と見做せば、また、馬体重が示す通り、未だに成長を辿っている段階での牝馬戦となれば、一変まで考えるべき。
もう1頭は別路線からで、その充実ぶりと新境地を開拓したばかりといった点に注目、◎まであり得るのがテルツェット。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。