高いレベルの混戦と定義づけて良い今年の桜花賞。
何故なら、トライアル戦線で2歳時の勢力図が改められつつあるから。その最たるが、大荒れに終わったチューリップ賞なのは論を俟たぬ。
しかし、ピッチが落ちぬまま進んだ中、気に逸る素振りが続いたサークルオブライフの評価を下げるわけにはいかぬ。
確かに、昨季よりバランスに秀でた点で成長を実感させての遠征だったが、気持ちの部分は人知の及ばぬところ。逆に、そこでガス抜きが叶ったとも受け取れるわけ。
帰厩後は? といえば、始動直後こそ反応が鈍かったものの、メンコを外した先週からはスイッチオン、直前に至っては威風堂々たる雰囲気のまま迫力増しの3F36.5秒が馬なり。
そもそも、デビューからの2戦を思えば、直後からの快進撃は想像を遥かに超えていたではないか。つまり、本質は叩き良化型。エンジン全開に待ったなし。
前哨戦、レースの綾に翻弄されたのはウォーターナビレラも同様。
直線入り口からは狭いポケットに嵌って伸び伸び走れぬシーンが如何にも痛かったからだ、無論、大一番を控えての余裕残しの仕上げといった点が結びつかなかった一因でもあるだけに、当時と異なる坂路52.4秒だった追い切りに大きな上積みを感じて良い。
目を瞠るほどの決め手を発揮して阪神ジュベナイルフィリーズの鬱憤を晴らしたのがナミュール。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。