毎年のことながら、オークスで頭を悩ますのが距離適性。直近のGⅠから4F延長と、桜花賞とは別物に見せかけるからだ。
とはいえ、高速ターフにおけるスピード能力は欠かせない要素だし、2400mに当て嵌めても能力的な格差は厳然として存在するから、それらの兼ね合いをどう差配するかが鍵に。
まずは一冠目を獲得したスターズオンアースから。
初勝利挙げて以降、シルバーコレクターに甘んずるかと思いきや、桜花賞では馬の間を割って出る瞬発力を示して差し切った。しかも、コース利のある直線の内が密集になる中、隣を弾き飛ばして進路を確保した勝負根性には頭が下がる思い。
そこでもうひと押しがあったのは、使いつつ状態面が充実していた故。実際、張りつめた馬体には目を瞠らされていた上に、それに磨きをかけた今がある。何せ、セーブしつつの直前では見た目より速い、というか同じイメージだった前回時を大きく上回る5F66.8秒で締めたほど。今回も如何に脚を矯めるかが鍵になろうが、そのウィークポイントを補って余りあるデキと伝えたい。
その桜花賞、不完全燃焼だったのがサークルオブライフ。
内有利の馬場で外枠になればセパレートコースの如き運び。加えて、レースの上がりが34.1秒。その中、仕掛けが遅れても最後には0.1秒差にまで詰め寄ったのだから、底力は半端なし。母方を辿ればオークスに嵌るとは思えぬが、ユッタリとした胴とその走りに融通性が表れている。
何より、本格始動だった4日にはアッサリと2馬身遅れて、正直その時点では首を傾げたのとは逆に、そこからはいつがレースかを承知しているかのように、シャープな動きに様変わり。これをセンスと言わずして何と言う。
さらに、最内にダービーゼッケン着用馬のいる3頭併せでも切れに切れたラスト1Fであった。GⅠゲットに向けての細工は流々。
別路線組でいの一番に挙げなければならぬのがアートハウス。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。