上半期の総決算となる宝塚記念は、充実を辿る明け4歳が主力になりそう。
問題は、大阪杯でよもやの大敗を喫したエフフォーリアの巻き返しなるか否か。
当時は、長距離輸送を経ての+6キロがまず誤算。天皇賞→有馬記念と極限だった反動ゆえ、帰厩後にピッチが上がったのがラスト2週で、鹿戸厩舎らしからぬ直前の速い時計。今となっては余裕のない過程を踏んだことが不完全燃焼に繋がったと決めつけて良い。
つまり、終いを伸ばす形の併せ馬に終始した今回こそ本来のメニュー。実際、漸く先着したかに見えた1週前でさえ、相手の一角はその週末にリステッド競走を勝ったウインカーネリアン。見た目に重かったにも関わらず、底力を示したことになる。
しかも、そこでスイッチオンとなった直前、は同じ3頭併せの真ん中で最後の100mからは格段に違うフォーム。メリハリの利いた追い切りにはさすがのひと言しかない。汚名返上へ待ったなし。
ステイヤーとして完成域に突入したと実感させた天皇賞からの距離短縮で臨むタイトルホルダー。
その距離のみならず、ハナは断じて譲らんとばかりのパンサラッサがネックにも。けれども、それは関係者も承知で、それをイメージしたのが先週の木曜。敢えて先を行く馬に追いつかないままのフィニッシで、その態勢でのリズムキープを学習させたし、十分に応えている。
また、やはり追走態勢だった直前でも平常心を保った状態から結局は矢のように伸びての3F37.4秒。調教でさえ反抗する素振りがあった以前と180度違う道中から意のままに弾けたのだ。3歳時、絶対に敵わなかったエフフォーリアとの差を確実に詰めてこよう。
以上に並ぶ◎候補がデアリングタクト。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。