先週に続くサマー2000シリーズ、函館記念が3場を通じてのハイライトになる。
何故なら、中央場所での当距離で、今回より質の高いメンバーに入っての好走がある2頭の参戦で魅力あるラインナップになったから。
その重視すべき金鯱賞→鳴尾記念で上位を窺ったサンレイポケットから取り上げなければならぬだろう。
宝塚記念を視野に入れて調整を進めた結果、出走が叶わず。ということなら、調教量は申し分ない筈だし、勢いが失せたかに見えた金鯱賞とは逆に、前走の鳴尾記念では0.1秒差と際どく迫れたのだから昇り調子。
そのフットワークから北海道の芝に適応できないとはイメージの範囲外でもあり、トップハンデに見合う実力を素直に受け止めるのが妥当に。
となると、冒頭で挙げた同じ路線を歩んだギベオンも俎上に載せるべき。
宝塚記念からの強行軍といった点が鍵になるが、前走の10着を悲観してはいけない。レコード決着をアシストした1000m通過57.6秒の厳しい流れに晒されながら4着とであれば1.1秒差に過ぎぬ上に、すぐ下の着順にはGⅠ馬ポタジェが。1F短縮となれば、2、3走前でコンスタントに1分58秒前後をマークしている事実に目を向けるのが得策か。
同じく、GⅠを経ての臨戦がスカーフェイス。
その大阪杯では、上がり最速をマークしての6着と地力強化をアピールできた。しかし、小倉大賞典でシーンがなかったのとは逆に、中山や阪神でのパフォーマンスから坂のあるコースでジックリと構えて進むのが理想と決めつけたくなる。また、レベルに疑問符がつく中山金杯からの1キロ増しといった点でも食指は動かぬ。
ステイヤーとして開眼しつつあるマイネルウィルトスも押さえの評価で十分か。
GⅡでの2着2回となれば、力量上位と見做すのが常道であろうが、昨夏の北海道シリーズでパンチ不足。1.59.9秒での札幌記念でさえ、水を開けられた4着だったし、コースロスを抑えたレース運びから直線だけと勝負に関わったわけではない。
ただし、最終週を迎える馬場に週末は不安定な天気との予報が。水かきがついているのは昨春の新潟、福島民報杯での大差勝ちが示す通りで、力を要するコンディションなれば一転主役に躍り出る。
関東馬ではアラタ。
一息入っての5月・都大路Sでは5着と退いた。けれども、美浦入りして一頓挫、ラスト2本での1F11秒台が数字とは裏腹に鈍く映った。体がデキていなかった分、精神面も不安定で持って行かれ気味のハナ、直線でも不利と、謂わば三重苦だったわけ。
対して、2週前の美浦では長目から追って負荷をかけられた上に、きついラップを踏んでも最後まで安定した走りと一変している。
元より、函館は2戦2勝でローカルというカテゴリーにまで広げれば昨秋・福島記念での3着をクローズアップできる。当時と同じ56キロなら更なる前進が見えているということ。
これよりも面白いのがスマイル。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。