中京記念は、昨年に続き小倉が舞台。1800mといった距離が示す通り、シリーズの他とは一線を画すように見えるが、小回りで切れが要求される分、マイルに対する適性を塗り潰して考えるわけにはいかない。
その点に沿えば、ここ3走で示した安定味を買ってのファルコニア主役は理に適っている。
確かに、その路線転換が100%成功だったわけではないが、リステッド競走だけではなく、マイラーズカップでも3着だったように相手なりに走る点には一目置いて然るべき。自在性を武器としている反面、長い直線を乗り切るには如何に脚を使うかといった工夫が不可欠だった分、直線の短いローカルであれば幅が広がる。
昨夏、小倉記念でアッサリ退いた事実には引っ掛かりを覚えるが、当時は間隔が開いたにも関わらずのマイナス体重。それを踏まえての終い重点と、3歳冬に当コースで2勝目をマークした時と同じパターンを選択したことには好感が持てる。
これと並び称して良いのがミスニューヨーク。
見せ場なく終わった昨秋・府中牝馬ステークスとは逆に、格段にレベルの上がった前走ヴィクトリアマイルでは、2着とであれば0.4秒差に過ぎなかったように地力強化が著しい。
それは、中間のCWで5F63.8秒の好時計を叩き出した事実が物語っているわけで、52キロながら詰めが甘かった4歳時の当レースとは別馬だということ。完全に手の内に入れているデムーロを配しての態勢は万全。
何より、天候不順な時期。滅法強い荒れ馬場になれば他との違いが決定的に。
牝馬でもう1頭、シャーレイポピーを取り上げる。
一旦は先頭に迫った前哨戦で甘くなったのは、落鉄のアクシデントに尽きる。確かに、同じ54キロだった福島牝馬ステークスでは10着と壁に突き当たったようにも映るが、そこでは縦長ながら内に押し込められる状態が直線まで続いたし、4角では躓くシーンも。にも関わらず、一瞬は顔を覗かせたように、伸び伸びと運ぶ形なら違うとイメージできる上に、細身の体ながらシャープな身のこなしとローカルが最も似合うタイプ。劇的な変り身があって不思議ない。
米子ステークス組、カイザーミノルにもマークが不可欠。
追走に手間取らぬ程度のピッチで進む中、コースロスを抑えたレース運びで、マイスター・横山典の読みだけが光ったと総括できるだけに、強さは感じさせなかったが、2ヶ月半のリフレッシュのわりに、結局は再びの馬体減。メリハリを利かせられなかった過程にも頷けたわけ。
対照的に、栗東入りして間を置かずとも6F80秒を切る時計でビッシリ追えたのが今回と、放牧先での調整のほどが窺えるではないか。マイル以下が主戦場といったキャリアだが、昨秋・毎日王冠が果敢に攻めた結果の0.3秒差。ローカルなら1800mにこそマッチしそう。
侮れないのがカデナ。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。