オール関西馬だった昨年に比べれば、俎上に載せるべき美浦勢がいるだけでも興味をそそられる今回のスプリンターズステークス。
しかし、本格化の気配を大いに漂わせているメイケイエールの前では霞みがちになろう。
3歳時には4着と、同世代ピクシーナイトには水を開けられたが、当時は気持ちを抑えることをメインテーマにせざるを得ない段階。それを完全に克服できているとは言えないが、完璧なレース運びでのレコード勝ちが前哨戦と、進化を遂げているのが何より。
現に、中間に坂路で自己ベスト49.4秒と負荷アップが目に見えているし、直前がCWでの終い重点と型に嵌った仕上げを施せた。念願のGⅠタイトル獲得に向けて待ったなし。
底力を問えば、最右翼と決めつけられるシュネルマイスター。
本調子に遠かった今春の安田記念でさえ惜敗といった足跡には頭が下がる。しかも、当時とは馬体のハリが違う故、馬を追い込むメニューを難なくクリアした結果、直前の3頭併せでは尋常でない弾け方でのラスト11.5秒。3歳春を凌ぐ推進力といった点でもひと皮剥けた。
けれども、やはり初の1200mには引っ掛かりを覚える。マイルでの1分31秒台2度をスピード能力と捉えられなくもないが、最後の最後で伸びてくるレースぶりで、異次元のペースに戸惑う恐れは、確かにある。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。