掴み処がないことで名高いエリザベス女王杯は、今年も例年にもまして難解なレースに。
まず挙げるべきポイントは、デアリングタクトの復活なるや否や。
案外だったオールカマーがあるからだ。内目が極めて有利なアンフェアな馬場にも泣かされたとはいえ、本来なら連対は固いと思えた勝負処からがワンパンチ足りなかった宝塚記念を含め、脚部不安が尾を引いているのは打ち消し切れぬ。
しかし、今回はあくまでも牝馬戦。同馬にとっての定石通りといった調整過程を踏めたことでも変わり身を見込むのが道理と言えるのでは。
そのオールカマー、馬場を読み切った鞍上に上手く誘導されて抜け出したのがジェラルディーナ。
如何にも嵌ったといった印象が強い分、人気になり切らないが、成長待ちの期間が長かった上に、距離を延ばしたことによって新たな姿を見せつけた事実は重い。そもそも、ダークホースとして挙げられているイズジョーノキセキを完膚なきまで叩き伏せたのが昨10月の西宮ステークス。完成途上だったのは自身も同様だっただけに、オールカマー共々、それらの対戦比較は尊重しなければならぬ。
府中牝馬ステークス組、勝ち馬以上に注目しなければならないのはアカイイト。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。