年が明けて初のGⅡ、日経新春杯はハンデ戦。時期を含めレースの位置づけが曖昧なだけに、荒れ気味といった傾向にも頷けるわけ。
しかし、今年に関しては、ジャパンカップで一旦は先頭に躍り出た結果の惜敗だったヴェルトライゼンデが全体のレベルを大いに引き上げている。
何せ、3歳時には三冠全てに参戦した元値の高さ。屈腱炎による長期ブランクからの復活劇がいきなりのGⅢ制覇で、下した2着がジェラルディーナといっただけでも金看板を背負っていることに。
とはいえ、トップハンデより気になるのは、秋に比べると追い切りに至るまで坂路追いが1本足りない点。そこが他にとってのつけ入る隙。
その筆頭がロバートソンキーなのに異論は挟めぬ。
確かに、秋のオールカマーは3角過ぎから仕掛けた馬たちをやり過ごした結果、トラックバイアスのかかった最内で脚を矯められた。ラスト1F付近で進路を確保してのスパートといったことでも嵌った感はある。
しかし、以前より一瞬の切れが格段に鋭くなったのは事実で、成長度合いに合わせて辛抱強く地力強化を図った成果が目に見えている。
加えて、ヴェルトライゼンデに対してであれば、格上挑戦だった神戸新聞杯ではタイム差なし。それが正に当舞台で、中京への適性と共に、そこからであれば2キロ差と、逆転できる要素は確かにある。
勿論、明け4歳には成長力といった強力なファクターがある分、下剋上は難しくない。本来なら、実績が示す通りの56キロを背負うプラダリアがその世代一番手になろう。
しかし、昨秋の2戦がインパクトどころか、早々とシーンなしといったレース振り。取りたい位置を取った挙句だったから如何にも物足りぬ。春からの馬体増がなかったことでも成長度はスローと決めつけたくなる。
それと対照的なのがヤマニンゼスト。
札幌で漸く2勝目をマークした程度ながら、神戸新聞杯では目の覚めるような末脚を繰り出しての2着だった上に、本番でもシッカリと脚を使って4着とであれば0.2秒差。流れに乗じられたにしても能力なしではあり得ない。1勝2着1回の当コースであれば前進しか頭にないだろう。
あとはヴェローナシチー。
未だ3勝クラスの身で、前走でも勝ち切れない辺りに不満が残る反面、レコード決着だった京都新聞杯では早目に動いた分とデリケートな差での惜敗で自身は2.09.6秒。ピンポイントの条件に乗じるシーンをなしとはできぬ。
最後に、ダークホースとして取り上げたいのがハヤヤッコ。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。