京都記念のテーマは、世代で括った上での優劣といった点に絞ることができる。
有馬記念、当時の3歳がワンツーだった事実を素直に受け取るべきかもしれぬ。しかし、復活のきっかけを掴んだエフフォーリアが、明け4歳に立ちはだかる構図を優先させたい。
その復帰戦は、立て直しに手間取ったが為、宝塚記念以来となって+12キロ。確かに、成長分が認められる造りではあっても、全体像を問えば緩かった。それは、牧場で乗り込んだにしてもオール終い重点の美浦入り後、手探りといった要素が否定できぬ過程にも表れていた。
対して、レース間が詰まっても使える状態になった上に、本格的だった1週前がゴール板を過ぎても手を緩めぬ念の入れようで、バランスを保ちつつのシェイプアップが叶った。
前半3Fが落ち着いていた反面、向正面からタイトルホルダーがピッチを上げた故、それを早目に追いかける立場は辛かった。ピークが3歳秋の天皇賞との見方がある以上、暮れからの距離短縮も大きなフォローに。
ダービーでイクイノックスを下したドウデュースも復活を期すクチ。
その能力には疑いを挟む余地なしで、マイルとクラシックディスタンスでのGⅠ2勝を含め、守備範囲の広さには頭が下がる。昨秋、海外遠征での失敗は欧州の馬場がネックに。つまり、開幕週の阪神が格好になるわけ。
何より、CWでの7F追いが3本と昨季より練度を上げているのに加え、ルーティーンになっている直前のポリですらダービー時を大幅に上回る5F65.1秒。58キロでも当レースの同世代の中では抜きん出ている。
対ドウデュースということなら、ダービーの着順を尊重するのが基本線。そこで5着だったプラダリアは、敵わないまでも当時より差を詰めて不思議ない。
秋初戦に躓いて菊花賞でも振るわずとトーンダウンはあったが、夏を超えたにも関わらず馬体減でのスタートと調子が整っていなかった。好素材ながら初勝利が3戦目だったように、使いつつのタイプと捉えて良い。
何しろ、漸く体が増えた今季初戦での3着が、ジャパンカップで際どい勝負になったヴェルトライゼンデに対してだから正真正銘。ラスト2週がCWだった神戸新聞杯当時と全く異なるデキと決めつけられるのは、きついラップを踏んだ1週前を経た上で敢えて直前でも攻められているから。少なくとも、今回は同斤になる日経新春杯2着のキングオブドラゴンには負ける要素なし。
逆に、復活を遂げたGⅠ馬とはいえ、中日新聞杯のレベルに疑問符がつく上に、2200mが微妙に長い印象のあるキラーアビリティ、マテンロウレオの評価は下げる。
代わって浮上するのはウインマイティー。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。