これまでの賞金が1600万に達していても、上位の動向次第では出走が叶わないといった状況が物語る通り、平均値は例年を上回る今年の桜花賞。
その中にあっても、リバティアイランドに逆らうには無理があるのではないか。
明らかに脚を余したのがアルテミスステークスで、それからの底上げが驚くほどだったのが阪神ジュベナイルフィリーズ。
いつでも抜け出せそうな手応えで迎えた直線半ば。スパートすると脚力の違いを見せつけて後続には2馬身半と決定力の差は歴然。しかも、その1.33.1秒が翌週の朝日杯フューチュリティステークスを0.8秒凌いでいるのだから、性別を超えた強さとなるわけ。
問題は、ブッツケで臨むということでその仕上り度合い。確かに、6F84.8秒が追い切りと、暮れより遅い時計ではあったが、約5ヶ月開いて臨んだ2戦目と同じく、栗東入り後の始動が坂路で、その後はCW追い。つまり、在厩では強く追う必要がないタイプだし、仕上げのノウハウが確立している点でも狂いなしと決めつけて良い。
そのリバティアイランドに土をつけたのがラヴェルで、相応の評価が不可欠に。
けれども、1000m通過57.0秒の前走でも後方で抑えるのに苦労するほどで荒削り。勿論、ブッツケで臨むことによってストレスが溜まらない分、そのリスクは避けられようが、上がり33.0秒でもゴール寸前には勢いを失していたのがアルテミスステークス。つまり、前半3F36秒に近い落ち着いた流れでこそ決め手が凝縮されるタイプではないか。GⅠの厳しい流れでは割り引くのが妥当。
2戦目、シンザン記念で大幅に持ち時計を詰めたライトクオンタムが脅威になるのは分かる。
そこでは、出負けしてデビュー戦とは180度違う形をいきなり克服といった点でも高得点をゲット。けれども、最終追いが半マイルから16.2秒のラップ、正味3Fのみは如何にも物足りぬ。終い重点で締めるパターンがこれまで同様だったとしても、それより控えて臨むのが大一番となれば不安が先立つ。
それならば、クイーンカップ組か。特に、ハーパー。
直線で苦しい態勢に陥りながら、そこから根性を見せて結局は測ったような差し切りと、着差以上と実感できたのだ。しかも、周りを固められる道中、前傾ラップは初勝利時とは対照的といった並の馬なら経験不足が堪えて当然の状況を撥ね返しての1.33.1秒。それがパンパンの良馬場でなかったことに更なる価値を見出して良い。
そこでは惜敗だったドゥアイズ。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。