例年のことながら路線が多岐にわたるNHKマイルカップは、難解な一戦。同じマイルのGⅠだった朝日杯をサンプルにしようにも、前週の阪神JFに劣る内容とあれば、それに飛びつくわけにはいかぬ。
となれば、今季を迎えての進化が目に見えているエエヤンが優位に立つのではないか。何故なら、前哨戦の4月には、2歳マイル王のドルチェモアを早々と潰した上で勝ち切ったのだから。
また、纏った鋼がより強力になったような印象に加え、追い切りなどは、直前に落馬した馬の馬具が置き去りになっていた直線入り口で物見した以外はパーフェクト。それ故に、想定より内目のコース取りだったとはいえ、弾むようなままで手応えは全くの楽。にも関わらずの上がり37秒を切って1Fに至っては11.1秒。その性能をフルに生かす舞台は直線の長い府中でこそと思わせる迫力に賭ける。
そのニュージーランドT、2着に食い込んだウンブライルも主力に取り上げるべき。
そこではブリンカー効果で、レースを投げる面を打ち消せた。血筋に裏打ちされたポテンシャルに疑いを挟めぬということ。と同時に、外に逃げてレースにならなかった阪神JFからの2戦は塗り潰して考えるべきだし、デビューを飾った当コースでのレース振りが示す通り、中山以上と確信できるわけ。
唯、切れに切れている身のこなしはさすがでも、前回時に比べると、攻め切れていないといった印象が。その馬格があればもっと厚みが欲しい全体像を脱していない分、対エエヤンとなると逆転は難しくなる。
エエヤンの直前に追い切ったオールパルフェ。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。