今年のオークスは、リバティアイランド一色に染まっている。
当然だ。昨年のスターズオンアースを取り巻いていた状況と比べても、他とのレベル差が歴然としているから。
昨夏に新潟で上がり31秒台をマークしたかと思えば、GⅠ連勝はいずれも坂のある阪神と、コースを問わぬ万能型。何せ、フラットなラップバランスだったとはいえ、桜花賞の当日は内目が有利なコンディション。その状況でも出負けから大外に進路を取ってひと呑みとツーランクは上であることを存分に示した。
中5週で臨む今回。先週が正味4Fの軽目と、そこに仕上げの難しさを感じたものの、結局は最後の1本で3頭併せを敢行してラストは10.8秒で締めた。
無論、クラシックディスタンスがピタリとは思えないが、同時に、4F延長での逆転が可能になるほどの適性を持ち合わせているライバルが見当たらないことも明らか。二冠達成は成ったも同然。
離されたとはいえ、桜花賞での上位組がそれに続くとの見方が主流になろう。
殊に、ペリファーニアはキャリア3戦目でのGⅠながら、一旦は2着かといった態勢にまでなった。西下が続きながら高いレベルで安定していた点に非凡さが表れているということ。
とはいえ、いずれもゴール前で甘くなった事実を受け止めなければならぬ。長距離輸送がない分、腰を落ち着けての調整が叶って、3頭併せの真ん中から瞬く間に抜け出した追い切りからも状態アップが確実なのは強調できるにしても、距離に対する不安を打ち消すまでには至らぬ。
それは、コナコーストにも言える。
格好のペースメーカーを得ての番手でプレッシャーのないまま進められたにも関わらず、リバティアイランドの圧力になす術なしの直線からでは、隔たりは更に大きくなりそう。
むしろ、狙い目はそこで不完全燃焼に終わったクチで、その典型がシンリョッカ。
ジリジリとしか脚を使えなかった今季初戦は、1分32秒台の決着にマッチしなかったと総括できるのでは。また、まだ暖かくなりきらない時期の調整だった故、昨秋に比べるとシャープさを出すまでに時間を要したといった面を否定できず。
対して、一段と皮膚が薄くなったと見た目で分かるのが今回で、桜花賞が格好の叩き台になった。長距離輸送を控えながらも強く追った前回時とは逆に、セーブ気味での5F68.7秒がラスト。ゆとりを持って仕上がられたことでの上積みに望みを繋ぎたくなった。
やはり、期待ほど弾けなかった桜花賞ということで、着実に前進できそうなハーパーも取り上げておく。
直線で苦しい位置に嵌ってから、そこを捌いて結果的に前を際どく捕らえたクイーンカップでの消耗があった為、立て直すのに苦労したのが見え隠れしていたから。それは、デビュー時との比較で大幅に減った462キロに表れているではないか。
対照的に、間隔がより詰まっても先週まででCW3本と既に前回時と同じ段階まで引き上げられた上に、最終追いが坂路というのは、初重賞ゲット時と同じパターン。漸く本物になったと決めつけて良いし、ゴーサインを出されてからの機敏性に欠ける反面、息の長い末脚を存分に生かせる距離延長+府中替わりを根拠にできるということ。
ここにきての攻め強化ぶりが手に取るように分かるのに加え、内にモタれる右回りと異なる条件になるドゥーラ共々、横一線になりそう2着争い中では優位に立てそう。
ここからは調子に太鼓判を捺せる美浦勢
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。