今週のメインは3歳によるユニコーンステークス。
確かに、歴代を振り返ると優勝馬のレベルには隔たりがあるが、当世代の勢力図を把握するには格好のレースに。
と同時に、条件馬も滑り込むことができる時期だけに、大まかに言えば玉石混淆。その中、最右翼がペリエールなのは論を俟たぬ。
既に、3勝をマークしている上に、昨秋からエリートコースに乗った結果、3歳初戦のヒヤシンスステークスでは抜群の切れを発揮して着差以上の強さ。隊列がスンナリ決まる流れで直線に賭けるのに危険があった中だから凄い。
また、マイルまでといった体型ゆえ、ドバイでは終いが甘くなった反面、4着と大きくは崩れなかったことにも成長を感じて良い。
何より、海外遠征の反動が全く目に見えぬ過程を踏んで臨む。すなわち、ひと追いごとに動きがスムーズになって、最終追いでは冬場に勝るとも劣らぬ鋭さでのフィニッシュと文句なし。
ライバルはグレートサンドシーになろう。
ヒヤシンスステークスでペリエールの後塵を拝した事実はある。しかし、当時はキャリア1戦のみでデビューを飾った11月から間隔が開いていたにも関わらず、コース追いは一本だけと坂路中心のメニュー。つまり、寒い時期に馬を追い込むような無理を避けたわけだし、長いスパンで先を見据える上での通過点、この厩舎特有のプランに拠るモノ。そこに出負けが加わってリズムを崩したまま進んだ道中があったのだ。
無論、スタート地点の芝でダッシュが鈍かったのは、昇竜ステークスも同様。しかし、同じように末脚に賭ける形で、こちらより上がりタイムで1.0秒劣った6着馬スマートフォルスがリステッド競走の端午ステークスを勝ったことが示す通り、既にランクが違う。
ラスト2本がCWと冬場とは違うパターンで当舞台も2度目。上積みしかない。
ヒヤシンスステークスからの変わり身を見込むべき、もう1頭はオマツリオトコ。
そこは、厳寒期でも体を維持するのに汲々としていたように仕上り途上。直線で挟まれる以前から手応えが怪しかったことでも分かる。
それとは対照的に、攻めに攻めた結果、3頭併せに挑んだ追い切りでは、縦列の最後尾から進んで前2頭の外に進路を取るハードさを伴っても揺るぎなし。余裕綽々ながら上がり36秒台に突入したのだ。出番がある筈のない芝マイルを使ったことによって間隔が開くのを避けられたし、それが覚醒を促したということ。広いコースでは1400mまでという気がしないでもないが、府中だからといって無視できないだけのデキに。
同じ伊藤圭厩舎、ニシノカシミヤが絶好調。
中1週にも関わらず、併せ馬を消化して前回時を2.0秒以上上回る時計をマークできたからだ。3月で見切りをつけての充電で一本芯が通ったとの見た目通り。実際、他の気持ちを削ぐかの如く、ハナを主張して一人旅だった前走の1.35.0秒は、同日のOPに当て嵌めても5着に相当。
けれども、そこは減量が利いての52キロ。斤量増と好天が予想される日曜の馬場、スピードよりパワーといった状況がネックになって微妙な立ち位置にならざるを得ない。
下剋上を狙うグループからは、むしろブライアンセンス。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。