サマーマイルシリーズの2戦目になる中京記念は、前2年の小倉開催と異なり、長い直線がある故、底力が問われることに。
となれば、まず触れなければならないのが、ダノンスコーピオン。
栄えあるGⅠ制覇が同じ左回りのNHKマイルカップと今回を容易にイメージできるから。しかし、内に押し込められた京王杯スプリングカップを叩いての前走・安田記念が余りにも淡泊。プレッシャーを避けつつといった、前哨戦の反省を踏まえたレース運びだったにも関わらず、である。
常識的に捉えれば成長力に疑問符がついてのトップハンデ59キロでは出番がなかろう。けれども、ラスト11秒台連発での臨戦。昇り竜の勢いだった3歳春、アーリントンカップ時とダブるのだ。その点で見限るのは早計と結論づけたい。
逆に、アドマイヤビルゴには首を傾げざるを得ない。
春・新潟での14着は馬場が全てとのエクスキューズがある反面、5歳以降との括りをすれば僅か4戦しか消化できていないように、進化を促すことなく今を迎えた。
確かに、マイルはまだ3戦のみで、ポートアイランドステークスでえは3着と光明を見た。しかし、そこは極端なスローの中、虎視眈々で距離ロスなし。それでも伸び切れなかった事実が限界を物語っているのでは。
同じ友道厩舎であればディヴィーナが上。
現に、1週前の併せ馬が同時入線だったとはいえ、アドマイヤビルゴを1.5秒上回る6Fの時計。つまり、上がり最速での4着だったヴィクトリアマイルをフロック視することなどできぬわけ。
スムーズに折り合えるようになっての破壊力増しが中京でも再現されそうだし、手の合う外国人ジョッキーが再び手綱を取る点でも信頼度は高まる。確率2分の1の抽選を是非ともくぐり抜けて欲しい。
注目の米子ステークス組、鮮やか差し切りを演じたメイショウシンタケには一目置かねばならぬ。
奥手の開花宣言と認めて良いのは、気持ち長いと思わせていたマイルでの決め手が鮮烈だったのと同時、ストレスを抱えることなく仕上げるパターンによってもひと皮剥けたとして良いから。
とはいっても、その前走は前が引っ張る流れで縦長の展開。要は、リズム重視の温存策でもコーナーでは内をロスなく追い上げられたように、嵌ったといった側面も。
逆に、そこでのセルバーグは不運のひと言。
機先を制されてハナを譲った時点でのビハインドも然ることながら、いざスパートせんとした直線で勝ち馬に弾かれては12着にも頷ける。それを含め、OPでの2戦は自分のスタイルに持ち込めなかった。是が非でも逃げたい馬が他に見当たらぬメンバー構成なら劇的に変わるまである。
それとの絡みからも急浮上、◎に指名するのはルージュスティリアになろう。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。