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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2023年08月10日(木)更新

関屋記念、洗練度アップのサクラトゥジュールが真打!



サマーマイルシリーズの第三弾になるのが関屋記念。ということなら、直近の中京記念を総括してから入るのが常道になる。

そこで鮮やかに逃げ切ったのがセルバーグで、前哨戦は消極策が災いした挙句、前をカットされる不利が全てだったと再認識させたということ。

また、苦しくなると尾を振る素振りが見られると同時に、そこからもうひと踏ん張りが可能になったのは、気性的に追いかけられる形でこそマックスになるから。
従って、前走からの3キロ増を気に病むより、自分のスタイルを徹底させるかどうかにかかっている。中2週のわりに、最終追いでも坂路54.4秒と十分に攻められている分、波に乗っていると結論づけるのが妥当に。

その2着ディヴィーナは、手応え通りの伸びを見せた。

仮に、3着馬が4角で躓かなかったのなら、そのポジションも怪しかっただろうが、安定して末脚を繰り出せるようなったのは収穫。
つまり、出遅れた上に、後方にいても終始力んでいた昨年の当レースは忘れて良いわけで、ここ2走と同じ左回りであれば信頼に足る。けれども、ヴィクトリアマイルからピッチを落とさずに使っての3戦目。酷暑の最中、長距離輸送を控えているが為、直前の坂路がセーブ気味だったのが少々引っ掛かる。

米子Sでの快勝があった故、中京記念でもマークされていたメイショウシンタケの決め手には一目置くべし。唯、馬群の切れ目をノンプレッシャーで進められる展開が不可欠。各馬が牽制し合いがちでひと塊になりそうな新潟には似合わぬタイプと決めつけた方が良い。

それならばロータスランド

5歳時、高松宮記念での惜敗があった分、それ以降は路線が定まらず。とはいえ、ソダシの圧を受けつつの逃げだった前走でも1Fまで踏ん張っていたし、昨秋・マイルCSでは一旦は先頭を窺うまでに、と力の衰えは感じさせぬ。
特に、2年前の覇者であるのに加え、そこで封じたのはカラテにソングライン。その2頭がここに参戦したとなれば、どんな評価になろうか。その時以来の新潟でセルバーグが格好のペースメーカーになってくれるのであれば、番手から盤石だった一昨年を容易にイメージできるわけ。

調子に太鼓判を捺せるのがアナザーリリック

昨4月のGⅢ制覇を境に低空飛行が続いている。しかし、ダートなど論外だし、窮屈だったり、大味な競馬になったのがここ2走とエクスキューズはある。そこにはマイルでの鋭さ不足といった面が。
唯、冬場とは大きく異なる、透き通るような皮膚の薄さ。新陳代謝が活発になる夏場はデキが違うし、実際にこの時期の新潟で既に2勝を挙げているではないか。その全体像と追い切りの芝コースで見せた実にシャープな捌き。ピンポイントより1F短い距離には目を瞑りたくなる。

そして、真打ちはやはり絶好調のサクラトゥジュール

昨夏のOP入り後、勝ち切れぬ競馬続きだったが、メイSでは快調に飛ばしたまま粘り込みを図る2着馬を射程に入れつつ運んだ結果の差し切り。見違えるほど洗練されたのだ。そこでの相手、マテンロウスカイの直後がGⅢでの惜敗と、単なるリステッドと決めつけると見誤るレベルといった点も強調できる。
これは、直前でストレスを溜めない仕上げパターンが確立されて、それにポテンシャルを引き出されたから。
つまり、新潟までの移動を考慮した場合、木曜追いを避けて朝一番の角馬場のみというのはプラン通り。しかも、先週までに5F65秒台の併せ馬2本と、前回時以上に馬を追い込めたと同時に、スタイリッシュでありながら力を漲らせている様子で今冬とは全く違うデキに。
遡れば、3歳春の府中マイルで1.31.7秒を叩き出せていたのが示す通り、元よりのワンターン巧者。東京新聞杯での凡走を度外視しての◎。

特別戦では土曜10Rのバグラダスを。

4月のGⅡ以来となった先月の福島は4着。が、好発ながら3角から控えて脚を矯めたが為、1200m特有の決め手比べで上位に譲っただけで力負けとは言えなかった。最後の最後にはジリジリとではあっても伸びを見せていた点でも、リフレッシュを経てのバランス良化が実戦に繋がったと決めつけて良い。
従って、走り慣れた距離に戻るのが何よりだし、完勝だった昨11月をイメージできる左回りが格好に。
また、5Fで4馬身のビハインドなど無きに等しいぐらいに余裕を持ってマークした併入した、追い切りの3F37.7秒などは、感心しきりだった前回時を上回る躍動感を伴ってもいた。
ファルコンSで先着を許したテラステラには敬意を払うべきだろうが、そこでは道悪に脚を取られたことが大きかった。目下の高速ターフであれば、そのライバルに対しても優位に立てる。

1勝クラスからは、まず土曜8Rのマンマリアーレを取り上げる。

2月を境に再び芝に戻しての最高着順は不良馬場だった2走前。要するに、あわよくばオークスを、と上を目指す面々に混じったフローラSで見せ場なく終わったのには納得が行く。
1戦1勝のダートが主戦場になるのは言うまでもない上に、その年明けはキックバックに気を使った前半とは裏腹に、強引に捲って行った勢いそのままにゴールまで脚色に衰えなし。
パワー型であると同時に、ローカルにおいては不可欠な機敏性も十分に表れていたではないか。その当時、まだ全身に力がつき切っていなかったにも関わらず。
対して、トモに力感が籠ったフォームに様変わりしたのが目下で、最終追いなどは古馬OPを果敢に追走する負荷UPも何のその、ラストは11秒台に突入して劇的に変わった。目論見以上とも受け取れる仕上りは心強い限り。

日曜12Rは、特大ホームランを狙ってロッソランパンテ

デビューを飾って以降は不振を託ったまま。これは、燃え易い気持ちの問題で、噛み合わぬ競馬続き。
唯、-10キロで状態面としてはとても感心できなかった4月・京都では前に壁を造る形にチャレンジ。そして、平常心をどうにかと保っての直線では最後の最後に脚を使えたのだ。離されたとはいえ、上位2頭の質を鑑みれば大崩れがなかったのには胸を張れるわけで、きっかけを掴みつつある。
加えて、馬の気の任せたこれまでと異なり、5Fの入りから我慢を強いて定石通りのしまい重点が叶ったのがポリで追った直前。馬体のハリが春以上といった点でもここでの大駆けがあって良い。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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