サマースプリントシリーズの5戦目になるキーンランドカップは、スプリンターズステークスの足音が響いてくる時期だけに、これまでの当路線とは少し色合いが異なる。
すなわち、メンバーの質を問えばシリーズ随一となるわけ。その最たるがナムラクレアなのは論を俟たぬ。
なぜなら、4歳を迎えてのワンランクアップがダイレクトに伝わってくる足跡で、持ち味を殺されかねぬ馬場だった高松宮記念でさえ、勝ち馬に足元を掬われただけと総括できるから。
そもそも、出発点とも言える2歳夏の初タイトルが小倉2歳ステークスだった上に、昨夏の函館スプリントステークスなどは1200mでは決定的とも言える、2着に2馬身半と圧倒的。つまり、ローカルであれば無類の強さを見せつけてきた。
加えて、その函館スプリントステークス時が現地入りして1本のみだったのとは逆に、札幌での本馬場がラスト2本で一段と濃密に。56.5キロのハンデだった年明けでさえ盤石だったことから、別定55キロは如何にも恵まれた。
ライバルに指名したいのはトウシンマカオ。
3歳夏からの路線転換で最終的には11月にGⅢ制覇と、やや勢いの失せた今季に目を瞑れば、その実績に頼ること厭うべきではない。確かに、前走は少々伸び足りなかった。しかし、最内枠で3角過ぎから動くに動けない位置に嵌ったのが痛かった反面、直線では何とかこじ開けて脚を使った。外から被せられるとブレーキをかけるウィークポイントを克服しつつあるのが何より。
昨年の当レース、セパレートコースをトレースするが如くの外々でも4着。それを含め、見直す手。
逆に、ウインマーベルには疑いを挟む。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。