今後のGⅠシリーズを占う意味で、極めて重要になる毎日王冠。
当然ながら、トップを狙うに足る一線級が顔を揃えた中、注目の的はやはりソングライン。
何せ、今春にはGⅠ連勝と府中マイルでは無人の野を行く。それは、以前からボリューム感が格段にアップした馬体ゆえ。
つまり、もう完成域に達した結果、牝馬らしからぬパワーを我が物にしているし、充電に当てた夏場を経てもその点ではとどまるところを知らぬ。
2週前から闘志をかき立てられる3頭併せといったフェーズに。その推進力には目を奪われるばかりで、最終追いに至っては1F11.0秒と弾けに弾けたし、威風辺りを払う雰囲気には圧倒される。
ただし、今回は生粋のマイラーにとっては微妙に長い距離。牡馬に換算すれば59キロという別定も鍵になる。
それならば、シュネルマイスター。
対ソングラインということなら、3歳時のNHKマイルカップで辛うじて差し切って以降、後塵を拝している。
とはいっても、海外遠征で体調を崩して本物になかった昨年は度外視すべきだし、前走は外枠でコースロスを強いられての0.2秒差。そこで一番強いレースをしたのはこちらだと確信している。
加えて、美浦入りしてすぐにトップフォームに移れたように、スムーズな仕上げ。結果、1週前でも態勢が整ったと思わせた上に、楽な相手ではなかった追い切りは、上がり地点でも1.0秒以上離された状態にも関わらず、1馬身後ろだった1F地点からダイナミックに体を使うと真一文字で逆に1馬身先着と凄い伸び。
完成手前だっ3歳時に制したレースということで、1800mに対する確固たる根拠が何とも心強い。
以上に割って入る候補はジャスティンカフェ。
成長を待ちつつレベルアップを図った効果が今季に実を結んだ。確かに、戦法が限定される分、マイルでは注文がつくが、当距離、しかも府中であれば状況を問わぬ強さを見せつけてきたではないか。
殊に、レコード決着だった昨年2着に価値を求めて良いし、そこからの進歩も明らかになっている現状。ソングラインと同じ57キロであれば決め手でも上回ることができるのでは。
狙って面白いのが3歳エエヤン。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。