サマースプリントシリーズの第3戦となるアイビスサマーダッシュは、名物レースとして完全に定着した。
と同時に、新潟の直線競馬らしく枠に左右されるし、レースの終盤、ゴチャつく外目を如何に捌くかといった不確定要素が多いことも否定できぬ。
その中、支持を集めそうなのがチェイスザドリーム。
当然だ。ダートのみが2走前までのキャリア。それが、爪の不安が解消しつつあっての初芝が前走の韋駄天ステークスで、スピードをセーブしつつの番手から測ったような差し切りと実に安定した取り口。つまり、パワー型にマッチする設定だけに、元よりの適性が露わになっただけと総括できるのだ。一見平凡に見える55.0秒にしても、春開催は芝が生え揃わぬ特殊な馬場だっただけに、時計短縮が目に見えている。
何より、外厩で仕上げを進めて、栗東入り後にはストレスを溜めずにレースに臨むパターンだった前走と同様な調整過程に加え、1週前にはその時以上の坂路49.1秒をマークできたのなら申し分なし。開幕週の馬場がどうか? だが、斤量据え置きということなら、当舞台2度目での上積みを含め、それも相殺できそう。
その韋駄天ステークスであっと言わせたのがマウンテンムスメ。
本来ならビハインドが大きい筈の5番枠を克服できたのは、類稀なダッシュ力で瞬く間に外目に出られたが為。けれども、後続がこちらを甘く見て仕掛けが遅め。展開面のメリットと52キロのハンデながら結局は甘くなったのは事実で、やはり同じ別定55キロで臨んだ昨年が12着。柳の下に二匹目のドジョウはいない。
それに次ぐ3着だったファイアダンサー。
叩き2走目で一気に冴えた動きになったことが反映されたわけで、昨春にはOPへの格上挑戦でいきなり結果を出したように、直線競馬が変わり身を促す傾向にある。
しかも、単走で十分なほどそれまでに鍛錬を重ねた経緯があって、格下とはいえ稽古駆けする僚馬との追い比べを制した1週前は今までにない迫力。
けれども、やはり見た目は良かった昨年、1番人気に反したのは熱中症ゆえ。そう、当日の気温に左右される不安要素がある分、ここでは結論を持ち越す。
それならばディヴィナシオン。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。