交流重賞を含めた正統な路線から切り離された立ち位置にあるエルムステークスは、通常なら手薄になりがち。
しかし、今年に限り、それが当て嵌まらぬのはドゥラエレーデの参戦がある故。
当然だ。大威張りできるGⅠのタイトルこそ2歳時、芝のホープフルステークスとはいえ、昨年のラストでダートに照準を合わせると、一線級相手に連続3着だから、格上的存在として良い。
にも関わらず、別定57キロで臨めるし、前目で捌くタイプで展開不問といった点でも信頼度は増す。直接北海道入りとイレギュラーな形になるが、デビュー2戦目に同様の牧場~裏函直行を経験している上に、初勝利が当舞台。不安材料にはならない。
同じ世代のミトノオーが強力なライバル。
3歳時の園田以来、約1年ぶりの重賞ゲットが前走で、そこから間隔は開いた。しかし、目標にしていた帝王賞の除外があっただけで緩めたこともなかろう。
実際、仕切り直しからして併せ馬での上がり36秒台が手応えに余裕があったままで、実にパワフルな身のこなし。さらに、その後も鍛錬に余念なしといったメニューを繰り返しているのだから状態には太鼓判を捺せるということ。
また、気風の良い逃げがアピールポイントで、初になるダ1700mなら斟酌無用のペースで後続に脚を使わせる形に持ち込める筈。
ミトノオーを挙げるのなら、マーチステークスでそれに次ぐ3着だったペイシャエスが自然と浮上する。
そこでの0.5キロ差が今回は同じ58キロになる点でも差を詰めること必至。遡れば、ジャパンダートダービー2着がある実力馬だけに、相応の敬意を払うべきでもある。
しかし、特殊なダートだったとはいえ、コーナーで徐々に置かれた結果、シーンのなかった昨年の当レースが頭をよぎる。この距離は忙しいのではないか。
同じく、実績馬ながら軽視して良いのがプロミストウォリア。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。