牝馬一冠目の桜花賞は、三強による凌ぎ合いと捉えて良い。
その一角、まずはアルマヴェローチェ。
道悪だった札幌2歳ステークス2着が最低で、渋太く伸びてのハナ差負けと瑕疵にはならないし、ポテンシャルがマイルでマックスになったとの見立てが妥当に。
その阪神ジュベナイルフィリーズが外に持ち出して最後は問答無用といった風情。また、近いトライアルより間隔を開けて臨むのがトレンドになっているのなら、青写真通り。
実際、栗東入り直後にベラジオオペラの胸を借りたように、立ち上げの段階から高みを目指していたのに加え、直近より一杯追いが1本多く、最終追いも前回時同様の3頭併せと寸分の狂いなし。
ライバルがエンブロイダリーなのは論を俟たぬ。
こちらも2月以来とゆとりのあるローテーション。そのクイーンカップでは、先を行くグループにとって厳しい流れの中、番手からと盤石だった上に、追い出しを待つ余裕があって最後には2馬身半と水を開けたのだ。
早めの栗東入りとイレギュラーな調整になった一方、デリケートな牝馬だけに輸送距離が短くなるのが何より。美浦でのコース追いを含め、1Fの時計はいずれも速いとなればマイナス材料は見当たらぬ。
取りこぼした3走前の中山を持ち出すことで右回りに対する懸念を言う向きもあろうが、当時は残暑で調整が難しかったのに加え、決め手比べで噛み合わなかっただけ。初勝利のレコードが示す通り、持久力を前面に押し出す形なら底知れぬし、阪神外回りはイメージ的にピタリ。2歳女王を破っての載冠が見えた。
2戦2勝で駒を進めてきたエリカエクスプレスのポテンシャルには畏怖すら覚える。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。