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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2014年09月18日(木)更新

好発進は約束されているイスラボニータ

今週から馬場開門が6時。朝一番から視界が利くようになったのは喜ばしい限り。そのタイムテーブルとともに、東西で行われるトライアルが間近に迫りつつある本格的なシーズンの到来を告げる。

まずは、阪神のローズS。先週の紫苑Sではオークス3着馬が敗退と、勢力図が一変。消長の激しい牝馬ならではという情勢の中、美浦からはGⅠ馬ヌーヴォレコルトが参戦。8月下旬から淡々とメニューをこなしている。特に、1週前の3頭併せでは、岩田が跨る念の入れよう。しかも、たっぷりと助走と取った6F追いで82秒0、ラストを11秒8で締めれば他2頭が引き離されて当然と言えよう。輸送を控えた直前はしまいを伸ばしただけの軽目だったが、流麗なシルエットで仕上りは上々。反面、腹目が薄いのが気懸かり。これは帰厩直後から思っていたことだが、成長という点で物足りないのだ。勿論、類稀な勝負根性がそれを補うシーンだってあるものの、凄みさえ感じた前走時(当欄で推奨)との比較では劣ると断ぜざるを得ない。ここは地元勢から◎を選ぶつもり。

対する新潟のセントライト記念では、イスラボニータが始動開始。元々目立っていた重厚感のある馬体に磨きがかかった模様。追い切りは1度目のハロー明け。ウッドの正面から入るものの、本格的な加速は半マイルを過ぎて。が、その時点で3馬身前を行く僚馬の内にもぐり込むと重心を低くした見事なフォームでフィニッシュ。中身が薄いような印象を受けるが、1週前の3頭併せでは古馬OPを圧する貫禄を見せつけた挙句の5F66秒3。勿論、ここで目一杯の仕上げを施すわけはないが、GⅠゼッケンを纏うに相応しい威風堂々たる迫力を示されては前哨戦であっても主役の座を与えるしかない

あまり見かけることのないエアアンセムは1週前に珍しくウッドに登場。北海道での一叩きがあったからステップからも期待は高まる。しかし、出稽古とも受け取れる国枝厩舎に混じっての併せ馬では遅れを取る。トモに力が入らない印象での1F13秒9では…。未だに体質の弱さを抱えている模様でレースセンスだけでは乗り越えられぬ壁を感じる

最終調整は坂路で55秒8だったオウケンブラックのそれまではウッド。馬場の内目を選ぶ田中剛厩舎とはいえ、先週の併せ馬では矢のような伸びを見せて3馬身先着。無駄肉のない体の造りで春以上に回転の速いフットワーク。多少強引に運んでも崩れないタイプで平坦も合うから新潟2200でチャンスは広がる

皐月賞馬とセットのようについて回るのがクラリティシチー。迫力ある馬体は相変わらず。追い切りの相手にマイネルラクリマを選んだこと自体がレベルの高さ。けれども、強く追ったのはその1本。本質は1600~1800という見立てからも、イスラボニータとの間には隔たりがありそう。その間に割って入る第一候補がマイネルフロスト。帰厩後1本目から質の高いメニューをこなせたように、夏場を経ての成長が著しい。加えて、最終追いの3頭併せでは全身を使ったダイナミックなフォームでラスト12秒1と鋭く反応。脚の使い処が難しいタイプにとっての内回りも後押し。

坂路も交えたメニューで太目感のない仕上りを見せるのがショウナンラグーン。閑散とした時間帯での6F追いで79秒9の好時計をマーク。脚色では劣ったものの、手応えが悪くなってからのもうひと伸びが同馬の真骨頂。反面、直線の短いコースが持ち味を殺す恐れも。

大久保洋厩舎ではそれ以外に注目。5F69秒台の併せ馬だけに、数字面で突出したわけではない。が、その両馬の動きが洗練されていて、ハイレベルな調教だったと断言できるうちの1頭、ハイアーレート(日曜7R)。引き締まった体とシャープな捌きで充電効果が抜群。500万下など通過点といった段階に達した。

また、それに1馬身遅れたものの、パワフルな動きで持ち味を存分に生かせそうなのが、土曜9R予定のペガサスジュニア。古馬相手に臆するような器ではない。唯、このレースにはサノイチもエントリー。中1週にも関わらず6F追いを敢行できたことが、充実期突入を物語る。直接対決で1勝1敗と五分の2頭。どちらを中心に据えるか迷うところ。

他の特別戦からピックUPしたいのが土曜10Rのベルモントラハイナ。和田道厩舎特有の軽目で5F72秒5だったが、角馬場での運動量も十分。気持ちが乗った感じでの1F12秒2が非常にシャープ。北海道での経験が馬を変えたし、馬場の荒れ出した新潟も合う

あとは新馬戦。土曜6Rのマイルに登場するキスザスターズ。ここ2週だけウッドでいずれも5F70秒を超えるタイムだったが、センス抜群の動きで手応えにも余裕。追えば幾らでも時計を詰める雰囲気で、バランスの取れた好馬体が魅力。また、キンシャサノキセキ産駒にありがちな前向きすぎる面が見受けられない点にも好感が持てる。実戦で能力を出し切れる大人びた面ということ。

プロフィール
柴田卓哉

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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