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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2014年09月25日(木)更新

B効果のフェイムゲームが主役

ロングランだった新潟もラスト2週で、ステップUPを狙う古馬が集うオールカマーがメイン。本格化の気配漂うサトノノブレスを関東勢がどう迎え撃つかというのがテーマ。

暑い夏場を避けたマイネルラクリマ、前週の土曜にびっしり追うという以前のパターンを踏襲しなくても力を出せることを、ここ2走で証明。追い切りは、輸送を考慮した5F71秒3のしまい重点。ラストの反応にもブランクを感じさせぬ。唯、1週前の併せ馬で3歳を突き放せなかったのが不満。先週の当コラムでも指摘したように、強い稽古不足のクラリティシチーだったからだ。実際、それがセントライトで息が保たずに11着。加えて、仮に小倉記念に出走したとして、上位が確実だったか?という点と2200がネック。押さえ程度

古豪ナカヤマナイトもウッド追い。函館記念で致命的な不利を蒙った無念を晴らすべくの前走では地力勝負の状況で9着とトーンダウン。それが'なるほど'と思える調教がこの中間。先週、500万下に遅れを取った上に、直前も4Fからの行き出し。上がり37秒3と好時計マークを額面通りに受け止めてはならぬ。体が硬く追い出されても前肢が伸び切らないからだ。全盛時は6F追いが基本。持久力という点に関しても衰えは隠せない

となると、フェイムゲームを取り上げるしかない。というより、◎まで考えられる変り身。勿論、宗像厩舎の仕上げだから目を剥くようなタイムを叩き出すわけではない。最終追いでは5F71秒1。が、3馬身追走の態勢だったスタートから徐々に差を詰めると、直線では痺れるような手応えのままラスト12秒4と鋭い反応。自らハミを取って重心を沈める様には風格さえ感じる。

そもそも、骨折さえなければサトノノブレスより上位にランクされるべきだった3歳時。宝塚記念での少差も頷けるわけだ。しかも、ブリンカー効果が覿面と思わせる動きまで披露したのだから、主役の座に躍り出たと見做すのが妥当

目黒記念で下馬評を覆したのがマイネルメダリスト。しかし、坂路オンリーだけに割愛。唯、捲る競馬も可能なだけに仕掛け処ひとつ。準OP時代にこれと勝ち負けを繰り返したクリールカイザーに少し触れる。追い切りの6F79秒9はさすが。けれども、馬場の内目だったし、前週の3頭併せで格下に突き放されての1秒遅れが不満。この中間、期待を持って見ていただけに裏切られたというのが正直なところ。馬体のハリも今一息

土曜メインは準OPのスプリント戦。中心は降級3戦目になるプレイズエターナルということになろうが、北海道で連続2着としてここに臨むゴーハンティングも好調キープ。半マイルからの行き出しで時計こそ平凡だが、馬場の荒れた時間帯でもダイナミックなフォームで駆け抜けたラストは12秒7。スパートを遅らせたこと考慮すれば、1F11秒台にも等しい伸びであった。戦法が限定されている憾みはあるものの、首位争い必至

同じく北海道経由ということで侮れぬのが、昇級初戦のユキノアイオロス。低迷期が長く3走前が久々の勝ち鞍。が、壁に突き当たることもなく現級入りという過程。頷ける。以前より中身の詰まった馬体に様変わり。それを駆使したフォームが実に力強い。馬場の外目ながらラストまで手を緩めずに追って、遠征帰りという点を微塵も感じさせない。6歳の秋にしてピークを迎えた印象

それを含めて週末の和田道厩舎が強力なラインUP。まずは土曜10Rのオリジナルスマイル。降級初戦の前走は惨敗だったが、好調期が長く続かぬタイプだから納得だし、それでリセットという点にも好感が持てる。現級勝ちは府中だったが、昨秋・新潟では強敵を封じたようにフラットなコースでの長距離戦が本領。先行併入の追い切りで5F71秒7だったが、速い時計を積み重ねて仕上げる厩舎ではないし、前に出られそうになって再び伸びた辛抱強さという真骨頂を発揮できたから、精神面でのリフレッシュ効果が窺える。勿論、馬体の造りも文句なし

続いては日曜最終Rのマンリー。現級勝ちが年明けの年明けの中山で、その開催で最弱と思えるメンバー構成の中。唯、当時とは馬が違う。馬体増がそのまま実になった模様で、4F54秒5以上の速さを感じさせたのは回転の速いフットワークゆえ。しかも、砂馬特有のパワーも十分にアピール。正攻法での前走時計を全面的に信頼して良い

最後に2歳戦。芙蓉Sはロジチャリスで決まり。札幌2歳Sで抽選除外の憂き目にあったから、その後の微調整が難しい筈。が、麗しい馬体は相変わらずで全身にパワーが漲っている。実際、最終追いの3頭併せでは、古馬を追走する態勢から鮮やかに抜け出しての6F81秒7。2分処とはいえ、圧巻の動きで器は間違いなく重賞級。従って、OP特別のここは単なる通過点

下級条件の直線競馬は日曜2Rが最後だけに、これを取り上げる。一叩きで一本芯が通った感のあるプリンセスケイ。ハロー明けの整備された馬場状態とはいえ、前回時計を1秒近く詰めての5F66秒2は能力のなせる業。現状では一本調子の面が残るだけに、軽快さを存分に生かせる条件替りは好機

あとは新馬戦。最終追いで僅かに劣ったものの、相手は準OPならむしろ褒められるべき中身のステラスターライトと、追ってバテぬ強みを外回りで生かせそうなスノーグースが出走する土曜5Rに注目。

プロフィール
柴田卓哉

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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