今週の新潟はダートのOP特別がメイン。夏場ということもあってメンバーは手薄。他2場の重賞レースに目を奪われるのは仕方ない。
高額条件ならブロック制の縛りがなく、関西馬の攻勢に晒される。唯、NST賞の美浦勢は少数精鋭。実績ということなら、昨年のプロシキオンS優勝のトシキャンディだろう。ブランク明けの中京でもスピードの衰えは見られなかった。が、坂路専用馬で、当コラムで詳しく語れる馬ではない。それでも、想像力を働かせるならば、追い切り時計の4F53秒9が少々物足りない。本来ならもっと速いタイムを叩き出せる筈。同型との兼ね合いも鍵。
当コースでならトシCに先着したことのあるデュアルスウォードも直前は坂路。けれども、1週前にはウッドで長目追いを敢行。ラストは控えたものの、ダイナミックな動きで、直線競馬を叩いた効果は窺える。そこまでは青写真通り。
それでも、2走前の迫力を思えば一歩及ばない気がする。本来はもっとメリハリの利いた全体像、体のハリが今一息なのだ。56キロも決して有利とは言えないだけに、展開の助けでどこまで、といったランク。
同じ叩き2走目ならアドバンスウェイ。2度目のハロー明けに登場。正面からコースに入ったから6F通過。5Fまでは17秒に近いラップでセーブ気味だったが、そこから14秒2と一気にペースUPすると、そのスピードを維持しながらフィニッシュ。外目のコース取りで5F65秒5というのが立派だし、鞍上のアクションの応えて最後まで安定したフォーム。
函館はあくまで試走。昨年も新潟1200での勝ち鞍があり、当時からの衰えは微塵もないのは、上述の追い切り内容が示す通り。57キロも許容範囲だし、急なコーナーでこそ生きるのが立ち回りの上手さ。狙いすました1戦であろう。
土曜メインは準OP戦。ここは坂路で追い切るマイネオーチャード (4F50秒2)やアロマティコの牝馬優位。コース追いの美浦組で好調なのはダイワズーム。しまい重点の4F52秒台で、実に鋭い反応。しかし、いくらデキが良くても上記の2頭には能力的に及ばないか。
あとはマイネルメダリスト。前走内容から定量戦なら有利。唯、一息入っての動きが冴えない。好調時なら6Fからビッシリ追う筈なのに、少しセーブしたポリでの最終調整。先週までのメニューも甘く全体的に緩い印象は否めない。今回に限り、急仕上げで実力より評価を落とすのが妥当。
他の特別戦で面白いのは、何と言っても日10Rのマイル戦。中京で好時計勝ちを果たしたプレイズアトレイルはフラットなコースで更に切れが増しそう。これに対抗する関東馬の上げ下げがポイント。
まずはポップジェムズ。ウッド3頭併せの最内で併入。マイルに替るのは大きなプラスで馬を抑え込める横山典が嵌りそう。しかし、4F51秒4で一応の時計は出たものの、前の捌きが少々硬いのが気懸かり。つまり、格別に上がりの速くなる新潟外回りが合うのか、ということで半信半疑。
逆に、このコースならスズノネイロと当初は思っていた。が、単走での直前が5F70秒7と平凡だし、1週前の併せ馬でも伸び一息。トーンダウン。同じ3歳なら好調キープのカフェリュウジンではどうか?追走して外に進路を取りながらラストまで地を掴むような力強い走り。でいながら柔らか味も十分。前走は出遅れて流れに乗れなかっただけ。それより1キロ減のハンデが後押しすれば大駆けも。
週末の特別戦は不確定要素を多く含むし、強力な関西馬も参戦。確実にゲットしたいという向きには平場のダート戦にスポットを当てて貰いたい。
土曜・最終のタニセンジャッキー。直前のポリ5F71秒5は平凡。が、節の関係でここまで出走が延びた為、微調整で十分なほど万全の仕上がり。実際、2週前には2角奥からのスタートとなる6F追いで78秒台の好時計をマーク。勿論、最後まで力強さやスピード感を失うことはなかったし、フックラした体つき。ギスギスした感じで出走に踏み切った前走とは雲泥の差。昨夏の1分10秒7は伊達でない。相手も、叩き2走目のフリスコベイ、左回りでは無類の安定感を誇るカネトシミントと絞れるのも有難い。
もう1頭は日8Rのスペクトロライト。3週連続で5Fからの併せ馬を消化。特に、本来ならしまい重点になる筈の最終追いでも斟酌無用のハードさ。それに応えた同馬ははち切れんばかり体でスケールの違いを実感させる動き。痺れるような手応えに終始しての5F67秒8で春からのパワーUPぶりが凄いのだ。田中勝が馬に遊ばれるのだけが心配。

柴田卓哉
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。