今週の3重賞の中で取り上げるのは3歳戦。土曜のクイーンCは、地方馬を除く3頭以外は1勝クラスで今の時期の牝馬重賞にありがちなラインナップ。
2連勝で駒を進めてきたキャットコインはポリでの併せ馬。5Fで前を行く僚馬との差が0秒7で道中の手応えからして抜群。内に入った直線でも余裕綽々でのラスト11秒9だから好調は間違いない。唯、時計優秀だった暮れの中山にしても前が引っ張った結果。パワーUPしているものの、使える脚が限定されるだけに、首位争い確実とまでは言えぬ。
良血カービングパスはオール坂路での調整。中間、コースで目にする限りでは馬体に幅が出た印象。が、現状では追い出されてからの機敏性に欠ける分、先週の自己条件をスキップしての格上挑戦が吉と出るかは?。となると、最終追いは坂路で54秒1だったスマートプラネット、1週前のウッドでシッカリとした身のこなしを披露。抑える競馬を試みれば変わる可能性はある。また、華奢な面を残すロッカフラベイビーの中山は大きなビハインド。従って、デビューを飾ったコースに替る分、上積みが見込める。鹿戸厩舎にしては負荷をかけた5F68秒4の併せ馬を消化。少なくとも、前走時よりは意欲を感じる。
以上4頭に一長一短がある以上、関西優位は否めぬ。唯、一石を投じるとしたらブルックデイル。11月以来となるが丸味帯びた体つきながら必要部位以外に無駄のない造り。最終追いはセーブ気味での5F68秒4。しかし、前週までに馬を追い込むような調教を課せられているから状態は休む前以上。
日曜の共同通信杯は将来を嘱望される馬が揃った。GⅢでの惜敗が続くアヴニールマルシェの中間は入念。描いた通りのローテで青写真通りの仕上げを考えるべき。2週連続での3頭併せは判で捺したように2度目のハロー明けでの最内。つまり、歴戦の古馬を相手にして追走する形だったのだから中身は濃い。唯、余力があったとはいえ、遅れたのは確か。この馬が休んでいる間に実戦で経験値を上げた馬が相手となると一抹の不安が。
最終追いは単走で5F69秒0と目立たなかったが、もう強く追う必要がないのがソールインパクト。その分順調に使われているわけだし、稽古より実戦で自分を磨いているからだ。力強い捌きは相変わらずで馬体のハリも上々。東スポ杯2着馬との逆転があって良い。
まだ見限れないのがコスモナインボール。2週続けての併せ馬を消化。特に、先週は同じ3歳OPに1馬身先着と持ち前のしぶとさを発揮。左回りに関しては瑕疵はないし、昨10月と同じ条件なら当時の1分47秒1を忘れてはならぬ。
他の特別戦ではまず土曜9R。2、3走前の左回りで高密度だったウインフェニックスはウッドでの単走。動きに余裕があっての1F12秒6だからシャープだったということ。勝ち味の遅さは別にして短期放牧明けでも不安はない。また、8ヵ月ぶりになるオコレマルーナも好仕上り。しまい重点の4F55秒1でも太目感はないし、自らハミを取ってゴール板を心得ているかの反応。ベリーならスムーズに捌ける筈だ。
三つ巴のあと1頭がサクラダムール。中山がベターではあるが、調教ではこれが一番。他厩2頭を9分処を通って抜き去った直線の伸びが凄い。5F66秒8も優秀で充実期に突入。
同じ1000万下でも牝馬限定となるのが土曜12R。前回も推奨したラインハーディーが相変わらず唸っている。ラスト12秒3と切れに磨きがかかった。が、ベストはマイル。前走、これに先着したシュンドルボンは1度目のハロー明けに3頭併せを消化。最内の3歳に1馬身遅れたが中1週で最後はセーブしたのであれば仕方ない、上り目こそないが順調そのもの。
唯、ここはマリアライト。丹念な乗り込みの結果が最終追いの5F70秒7。既に強い稽古を必要としない仕上がりだったわけだ。とはいえ、3頭縦列の最後尾から鋭く反応してのフィニッシュ。使い減りするタイプだけに休み明けのここで全開。
日曜は京都の飛鳥Sに目を向ける。現級2戦目になるトーセンマタコイヤがOP入りするだろう。少し不器用な面があって、それが露呈したのが前走。つまり、多少短く思える1800でも京都の外回りならOK。加えて、2度目のハロー明けに3頭併せの最内で力強い捌き。5F66秒9でも余力十分と、その時間帯で最も目立ったほど。以前は関東に所属していたエアアンセムとが大本線。
同じ加藤征厩舎でもう1頭。3歳未勝利・バンデイア(日曜4R予定)は、決して楽に先着できる相手ではない同世代2頭に対して余裕綽々。仕上げが甘かったデビュー戦と雲泥の差であればもう取りこぼせない。未勝利戦、穴馬を挙げるなら土曜3Rのクラウンロベルト。人気薄だったデビュー戦で推奨したほど馬体の良さは目立っていた。が、速さに欠ける面で伸び悩んだ。が、G前でひと伸びしたDコースでの身のこなしから砂は合う筈だし、叩いた効果も大きい。

柴田卓哉
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。