ロングランだった府中もラスト2週となって、3歳ダート路線の羅針盤となるユニコーンSが日曜メイン。前哨戦の青竜Sからの変り身を期待したのが、水曜に追い切った2頭。まずは、トゥルッリ。2月の1分37秒9が極めて優秀だっただけに、前走が案外。思い切った戦法を放棄した結果とも言えるが、それが可能な仕上がりでなかったことは確か。唯、実戦を経ても体のハリが戻らない段階。朝一番のウッドでも同厩の前2頭とは距離を置いての道中でハナから併せる意思なし。内目のコース取りで1F13秒2と平凡なら、良化は遅々として進まぬと受け取って良い。
転厩初戦が手探りの仕上げだったのがイーデンホールだから、出遅れ以前の問題であった。しかし、今回の追い切りも5Fからピッチが上がらずにしまい重点。測ったような抜け出しでの2馬身先着で余力はあったものの、行き出しが緩かったのだから迫力不足と断じたい。この馬には大久保洋流の調教でないと締まらないのでは。
その組からなら素直にノンコノユメ。先週の併せ馬で負荷をかけたから最終追いの平凡な時計は気にならぬ。というより、直線で古馬2頭の間を割って1F13秒0という数字以上の迫力。首を上手く使って重心が沈むと同時に前肢に力が籠ってくる見事なフォームで走りが洗練されてきたのだ。スローでも差し切れた前走で本格化、更に磨きがかかった。
アルタイルも好調をキープ。2度目のハロー明けでラッシュの最中。3歳の同格に脚色で劣ったが、一旦手応えが悪くなっても喰らいつけるのが同馬のアピールPでラストが12秒3なら上々。相手なりに走れるタイプで大崩れはないだろう。
真打ちのゴールデンバローズは木曜追い。同厩4頭とともに、開門後20分も満たないうちにDコースに姿を現す。その後、キャンターからウッド。
1週前、5F69秒3の併せ馬が実にダイナミック。従って、テンションを抑えることに主眼を置くだろうことは想像に難くなかったし、予想通りの単走。半マイルでピッチを上げたといっても14秒9、リズムを重視して終始馬なりだったが、弾力性がある身のこなしで搭載エンジンの違いを改めて実感。ドバイ帰りで冬場のハリには及ばないのは認めざるを得ない。唯、8分に達しているのであれば問題ないほどの能力。国内でならノンストップ。
同じマイルの青梅特別も注目レース。唯、3歳GⅢが2勝馬で16分の11という抽選。弾かれて回る馬次第では様相が一変する。が、ノースショアビーチの存在があれば大丈夫。何せ2階級落ちという有利さに加え定量戦なら3歳に足元を掬われる心配もなかろう。
直前の2本がウッドで完歩の大きなフォームで全身のパワーがダイレクトに地に伝わっている模様。追い切りは5Fの入りが16秒1と緩めだが、3角手前からウッド入りしたから十分過ぎるほどの助走から行き出したということで、5F68秒8という時計以上に濃密。
降級を待っての再スタートで仕上げに抜かりはない。レパードSでクライスマイルの後塵を拝しているが、当時はブリンカーを着けていなかった時期。2戦2勝の府中マイルなら死角なし。
日曜の特別戦からもう1頭。芦ノ湖特別のマッサビエルが凄いデキ。1000万下で古馬に混じっての長距離戦となるとキャリア不足が懸念される状況。しかし、馬体に幅が出た上に、それを巧みに駆使した力感溢れるフォームは、この中間から。つまり、2馬身突き抜けてまだ余裕のあった前走時よりパワーUP。1週前に負荷をかけて直前軽目というのもプラン通り。5F72秒を超える時計を気にする必要はない。
今週は最終Rが勝負処。日曜の芝マイル戦は降級初戦になるパワースラッガーが順当に良化。1度目のハロー明けの先陣を切っての単走で外ラチ沿いを力強く駆け抜けた。時計は平凡だったが、調教の中身は前回より上。けれども、休養効果が抜群のロジチャリスには譲りそう。ゴールに近づくにつれ、重心を沈めての伸びが圧巻だった1週前、直前も実に軽やかで、OP馬を明らかに上回る動き。休養前とは雲泥の差で距離短縮も◎。
土曜はアキトフォルテ。成長分を含めても太かった前走はレース運びに拙さも目立った。中1週ながらウッドでの併せ馬を消化できたこと自体、ひ弱さが消えたということだし、引き締まった筋肉質の体が麗しい。古馬相手の2戦目、策に溺れることなく正攻法での抜け出しを図れば能力全開。
これと併せて互角の動きだったサクラベルカント(日曜4R)にも注目。デビュー戦のダートは度外視。出遅れもあるが、体裁を漸く整えたといった程度の仕上げで1度実戦を経験させただけ。当時は追えばその分だけ伸びたが前捌きに伸びやかさがなかった。逆に、ここに至る過程は入念にしてハード。先週に5F66秒台をマークできた時点で推奨を決めていたほど。芝替りで真価発揮。
最後に新馬戦。日曜6Rのダート戦にスポットを当てる。パワフルな動きが目立つグレートヒットを指名。確かに、気性面の不安があって砂を被るとシーンのないまま終わるリスクもあるが、身体能力が極めて高い。最終追いの4F53秒9での単走扱いにしても前2頭を瞬く間に追い抜いたゆえで、実質は追走して大差先着。外枠を条件に狙い撃つ。

柴田卓哉
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。